○徳島県食料・農林水産業・農山漁村基本条例
平成二十年十二月二十五日
徳島県条例第五十七号
徳島県食料・農林水産業・農山漁村基本条例をここに公布する。
徳島県食料・農林水産業・農山漁村基本条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 本県の特長を生かした豊かで充実した食料の提供(第十一条―第十四条)
第三章 本県の特長を生かした農林水産業の振興
第一節 とくしまブランドの創出及び海外への進出(第十五条・第十六条)
第二節 活力ある農林水産業の振興(第十七条―第二十一条)
第三節 優良な生産基盤の整備及び保全等(第二十二条・第二十三条)
第四節 多様な担い手の育成等(第二十四条)
第五節 地球環境の保全への貢献等(第二十五条―第二十八条)
第六節 新たな技術の開発及び普及(第二十九条)
第七節 農商工連携の促進(第三十条)
第四章 本県の特長を生かした農山漁村の活性化(第三十一条―第三十五条)
第五章 県民等の参画及び協働による潤いと安らぎのある農山漁村の保全(第三十六条・第三十七条)
第六章 維則(第三十八条・第三十九条)
附則
食料は命の維持の基本であり、豊かな暮らしは県民の願いである。本県の農林水産業及びその生産する食料は県民はもとより多くの人々の命を支え、農林水産業の基盤である農山漁村はその暮らしを支えている。
本県の農林水産業は、吉野川、那賀川等の清らかで豊かな水、それらの河川がはぐくんだ肥よくな土壌、剣山を中心に県土の約七割を占める緑豊かな森林、瀬戸内海から紀伊水道を経て太平洋までの変化に富んだ海域、温暖な気候といった恵まれた自然環境や地理的条件を生かし、本県の経済を支える基幹産業として発展している。
このような恵まれた条件の下、本県では多種多様な農林水産業が営まれ、そこから生まれ、育てられ、食されてきた食料は、永年にわたって県民の命をはぐくんできた。こうした背景には、先人たちの命の糧を提供するという自信と誇りを持ったたゆみない努力があり、創意工夫に富んだ高い技術力が脈々と受け継がれ、本県を代表する数々のとくしまブランドの生産へとつながってきた。
また、農地、森林、水域等を効率的に利用した人々の営みは、個性あふれる農山漁村を形成し、食料の安定的な供給はもとより、県土の保全、水源のかん養、美しい景観の保全、人形浄瑠璃をはじめとする本県独自の地域の伝統的な文化を伝承する潤いと安らぎを与える場の提供等、県民の暮らしを豊かで充実したものにしてきた。
一方、経済社会のグローバル化、人口の減少、少子高齢化、価値観の多様化といった時代の潮流の中、世界的な食料危機や我が国の食料自給率の低下、増え続ける輸入農林水産物への不安や広域的な食品偽装等から、本県の農林水産業に対し、安全で安心して消費できる食料の安定的な供給への期待が膨らんできている。
そこで、本県の農林水産業は、生産と消費の距離が近いという特性を生かし、本県はもとより、大鳴門橋及び明石海峡大橋の二つの橋でつながった京阪神地域等の人々の命をも支える生鮮食料供給地としての責務を果たすとともに、農林水産業者と消費者の相互理解を深め、今後とも本県の農林水産業に対する期待にこたえていく必要がある。
さらに、地球規模での温暖化の防止や地球環境の保全に貢献するため、農林水産業の自然循環機能を活用し、さらなる環境保全型農業の推進、適切な森林の整備、豊かな漁場の育成等の地球環境に配慮した農林水産業の振興に努めなければならない。
こうしたことから、私たちは、農林水産業への参画と協働により、食料の供給を通じて県民の命を支える農林水産業の持続的な発展及び県民の暮らしを支える個性豊かな農山漁村の活性化を図るとともに、これらを貴重な財産として守り、健全な姿で次代に継承していく責務がある。
ここに、私たちは、本県の食料、農林水産業及び農山漁村の未来をゆるぎないものとするため、この条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、人の命の維持に欠くことができない食料、当該食料を生産することにより命を支える農林水産業及び暮らしを支える農山漁村の重要性にかんがみ、本県における食料の安定的な供給の確保並びに農林水産業及び農山漁村の振興並びに当該食料、農林水産業及び農山漁村の次代への継承(以下「食料供給の確保及び農林水産業の振興等」という。)に関し、基本理念を定め、並びに県の責務及び農林水産業者等の役割を明らかにするとともに、県の実施する施策の基本となる事項を定めることにより、食料供給の確保及び農林水産業の振興等を総合的かつ計画的に推進し、もって県民の福祉の向上、県勢の健全かつ持続的な発展並びに現在及び将来の県民の豊かな暮らしの実現に寄与することを目的とする。
一 農林水産関係団体 農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業に関する団体をいう。
二 食品産業事業者等 食品に係る製造業、流通業(輸入業を含む。)及び外食産業の事業者並びにその他の食品に係るサービスを提供する事業者をいう。
三 県民等 県民、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体、ボランティア、企業及び学校をいう。
四 とくしまブランド 本県の農林水産業者又は農林水産関係団体が供給する食料その他の農林水産物及び当該農林水産物を主な原料として県内で生産された加工品であって、安全性が確保されていること、安心して消費できること、高品質であること、新鮮であること等の特性により消費者に信頼感等を与えるものをいう。
五 多面的機能 農山漁村において農林水産業の生産活動が行われることにより生ずる農林水産物の供給の機能以外の県土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等の多面にわたる機能をいう。
六 農林水産業の自然循環機能 農林水産業の生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。
七 環境保全型農業 農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和等に留意しつつ、土づくりを通じて化学肥料及び農薬の使用等による環境への負荷の低減に配慮した持続的な農業をいう。
(基本理念)
第三条 食料供給の確保及び農林水産業の振興等は、次に掲げるところにより行われなければならない。
一 生産と消費の距離が近いという本県の特性を生かした生鮮食料供給地としての責務を果たすことにより、豊かで充実した食料を提供すること。
二 恵まれた自然環境を生かした多種多様な農林水産業を展開することにより、県民の命を支える農林水産業の持続的な発展を図ること。
三 高い技術力及び創意工夫を生かした農林水産業者の生産活動等により、とくしまブランドのより一層の充実を図ること。
四 本県の農林水産業を、その多様な担い手が自信と誇りを持って従事できる本県の基幹産業として持続的に発展させること。
五 農林水産業の自然循環機能を活用することにより、地球環境の保全に貢献する農林水産業を推進すること。
六 農林水産業者等の経営の改善を図るため、高品質で多種多様な本県の農林水産物と本県の中小企業者等が有する高い生産技術等とを有機的に連携させ、農商工連携(農林水産業者と中小企業者等とが相互に連携することをいう。以下同じ。)を促進すること。
七 中山間地域等をはじめとする県内各地域の農山漁村を、それぞれが持つ自然的及び文化的な特性等の豊富な地域資源を活用することにより、人、物及び情報が循環する活力のあるものとすること。
八 農林水産業及び農山漁村が持つ多面的機能が将来にわたり適切かつ十分に発揮されるようにするとともに、田園環境の再生及び創造を推進すること。
九 県民等が農林水産業への体験その他の主体的な参画をすることにより、県民の命を支える農林水産業への理解を深めるとともに、協働により潤いと安らぎのある農山漁村の保全に努めること。
(県の責務)
第四条 県は、前条に規定する食料供給の確保及び農林水産業の振興等についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国、市町村、農林水産業者、農林水産関係団体、食品産業事業者等及び県民等と連携して、食料供給の確保及び農林水産業の振興等に関する施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない。
2 県は、基本理念にのっとり、農林水産業者の経営を支援するため、農林水産業者が継続して農林水産業を行うために必要となる所得の確保等の経営安定対策及び農林水産物の価格安定対策に関する施策を講ずるものとする。
(国に対する提言等)
第五条 県は、国に対して、食料供給の確保及び農林水産業の振興等に関する施策に係る提言又は要望を積極的に行うものとする。
(市町村に対する協力)
第六条 県は、食料供給の確保及び農林水産業の振興等に関する施策を策定し、及び実施しようとする市町村に対し、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるものとする。
(農林水産業者等の役割)
第七条 農林水産業者及び農林水産関係団体は、基本理念にのっとり、自らが県民の命及び暮らしを支えていることを認識して、消費者との交流の促進を図り、消費者の信頼を得られるようたゆまぬ努力を行うとともに、とくしまブランドの生産及び供給に努めるものとする。
2 農林水産業者は、基本理念にのっとり、自らの事業活動を通じて、農地及び林地(以下「農林地」という。)並びに漁場及びその周辺海域の適切な管理、地域の伝統的な文化の保護等の農山漁村を活性化させるための活動に率先して取り組むよう努めるものとする。
3 農林水産関係団体は、基本理念にのっとり、それぞれの地域における農林水産業の振興を図り、豊かな地域社会の実現に貢献するとともに、自らの健全な経営を確保するため、経営基盤の充実及び機能の強化に努めるものとする。
4 農林水産関係団体は、基本理念にのっとり、国際化の進展等の環境の変化にも対応できるよう、価値の高い農林水産物の生産に関する取組への支援、新たな販路の開拓及び食品産業事業者等、木材産業者、観光事業者等との連携に積極的に取り組むよう努めるものとする。
(食品産業事業者等の役割)
第八条 食品産業事業者等は、基本理念にのっとり、安全で安心して消費できる食料(以下「安全で安心な食料」という。)を安定的に供給することの重要性にかんがみ、自らの事業活動を通じて、当該安定的な供給の確保を図るよう努めるものとする。
2 食品産業事業者等は、前項に規定する安全で安心な食料の安定的な供給の確保を図るに当たっては、食料を生産する農林水産業者との連携を図るとともに、自らの事業の健全な発展を図るため、事業基盤の強化、流通の合理化等に努めるものとする。
3 食品産業事業者等は、基本理念にのっとり、関係法令等を遵守するとともに、事業活動に伴う環境への負荷の低減及び資源の有効利用を図るため、食品廃棄物の発生の抑制、リサイクルの推進等に努めるものとする。
(消費者等の役割)
第九条 消費者は、基本理念にのっとり、食の重要性を認識し、健全で豊かな食生活を心がけるとともに、本県の農林水産物を積極的に消費するよう努めるものとする。
2 県民等は、基本理念にのっとり、農林水産業及び農山漁村に支えられた自らの暮らしを通じて、安全で安心な食料を安定的に供給する機能及び多面的機能を有する農林水産業及び農山漁村の重要性に対する理解を深めるとともに、これらの振興に協力するよう努めるものとする。
3 県民等は、基本理念にのっとり、農林水産業及び農山漁村の持つ多面的機能の適切な発揮を促進するため、農林水産業への体験その他の主体的な参画及び協働による農山漁村の保全活動に努めるものとする。
(基本計画)
第十条 知事は、食料供給の確保及び農林水産業の振興等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、食料供給の確保及び農林水産業の振興等に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 総合的かつ長期的に講ずべき食料供給の確保及び農林水産業の振興等に関する施策についての基本的な方針
二 前号に掲げるもののほか、食料供給の確保及び農林水産業の振興等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、徳島県農林水産審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、基本計画の変更について準用する。
第二章 本県の特長を生かした豊かで充実した食料の提供
(食料供給機能の強化による食料自給率の向上等)
第十一条 県は、生産と消費の距離が近いという本県の特性を生かした生鮮食料供給地としての責務を果たすとともに、本県の食料自給率の向上を図るため、本県の農林水産業の食料供給機能を強化するための施策を講ずるものとする。
(安全で安心な食料の安定的な供給のための体制の強化等)
第十二条 県は、安全で安心な食料を安定的に供給することの重要性にかんがみ、食料の生産から消費に至るまでの各段階において、当該安定的な供給を促進するための体制の強化を図るとともに、その他の当該安定的な供給の確保のための施策を講ずるものとする。
(食育の推進に際しての取組)
第十三条 県は、食育の推進に際しては、望ましい食習慣、食料の安全性及び地域の食文化に係る情報の提供を行うとともに、県民が食を大切に考え、食料を生産する農林水産業及び農林水産業の基盤となる農山漁村の重要性について理解を深めることができるようにするための施策を講ずるものとする。
(地産地消の推進)
第十四条 県は、本県における地産地消(地元で生産された農林水産物を地元で消費することをいう。以下同じ。)を推進するため、県内で農林水産物が豊富に生産されるという特性を生かして、当該農林水産物の積極的な使用等県民が高品質で多種多様な本県の農林水産物を安定的に購入し、消費することができる体制の整備のための支援、農林水産業者と消費者との交流の拡大の促進、学校給食での地産地消の促進等の施策を講ずるものとする。
第三章 本県の特長を生かした農林水産業の振興
第一節 とくしまブランドの創出及び海外への進出
(海外への販路の拡大)
第十六条 県は、とくしまブランドが海外に進出し、海外の市場においても消費者の高い評価を受けることができるよう、本県の農林水産物の輸出の支援のための施策を講ずるものとする。
第二節 活力ある農林水産業の振興
(水田農業の振興)
第十七条 県は、食料の供給に欠くことができない水田の維持及び活用を図るため、水稲、麦等の土地利用型作物(広い農地を活用して栽培する作物をいう。)及び転作作物(米の生産調整のために栽培される米以外の作物をいう。)としての園芸作物、飼料作物等の栽培の推進、生産に要する費用の低減化、経営の効率化等の支援のための施策を講ずるものとする。
(園芸農業の振興)
第十八条 県は、高品質かつ安全で安心して消費できる園芸農業に係る農産物の安定的な生産及び供給を図るため、生産及び集出荷の体制等の整備の推進、農産物の付加価値の向上、販路の拡大等の支援並びに新たな生産技術の普及のための施策を講ずるものとする。
(畜産業の振興)
第十九条 県は、安全で安心して消費できる畜産物の安定的な生産及び供給を図るため、畜産物の安全性の確保、家畜衛生及び畜産環境に関する対策を推進するとともに、畜産物の生産、処理、加工及び流通の各段階における支援のための施策を講ずるものとする。
(林業及び木材産業の振興)
第二十条 県は、林産物の安定した生産及び供給並びに木材需要の拡大を図るため、林業機械及び木材加工流通施設の整備、販路の拡大等の支援、森林施業及び生産技術の普及並びに林産物の新たな用途の開発のための施策を講ずるものとする。
(水産業の振興)
第二十一条 県は、高品質かつ安全で安心して消費できる水産物の安定的な生産及び供給を図るため、生産施設及び流通施設等の整備による水産物の品質の向上及び衛生管理の高度化を支援するとともに、増殖場の整備、種苗の放流による栽培漁業の推進等の支援のための施策を講ずるものとする。
第三節 優良な生産基盤の整備及び保全等
(優良な生産基盤の整備及び保全)
第二十二条 県は、農林水産業の生産性の向上及び生産の安定を図るため、農地、農業用水及び農道、林道、漁港及び漁場等の生産基盤の整備及び保全のための施策を講ずるものとする。
(農林地及び漁場の適切な管理及び有効利用)
第二十三条 県は、優良農地の確保に努めるとともに、農林地の生産力を高め、農林地の持つ多面的機能が発揮されるよう、食料供給力の強化に向けた農業の担い手への農地の集積及び遊休農地の活用の推進、未整備森林の解消等の施策を講ずるものとする。
2 県は、水産物を持続的かつ安定的に確保するため、水産資源の適切な管理及び漁場の秩序ある利用の推進のための施策を講ずるものとする。
第四節 多様な担い手の育成等
第二十四条 県は、経営感覚に優れた農林水産業者、認定農業者(農業経営基盤強化促進法(昭和五十五年法律第六十五号)第十三条第一項に規定する認定農業者をいう。)、集落営農組織(集落における営農活動の全部又は一部について共同で行うための当該集落の農家による組織をいう。)、農事組合法人等(農林漁業法人等に対する投資の円滑化に関する特別措置法(平成十四年法律第五十二号)第二条第一項第一号に掲げる法人をいう。)、女性及び高齢の農林水産業者、農林水産業への新規就業者等の多様な農林水産業の担い手の育成及び確保を図るため、農林水産業に係る生産技術、経営管理能力等の向上のための施策を講ずるものとする。
2 県は、農林水産業者が創意工夫を生かした効率的かつ安定的な経営を展開できるよう、経営体の体質の強化、経営規模の拡大等の農林水産業者の経営基盤の強化のための施策を講ずるものとする。
3 県は、地域の農林水産業において、特に重要な役割を果たしている女性及び高齢者を支援するため、女性が農林水産業に参画する機会の確保、子育ての環境の整備、高齢者の農林水産業への取組の支援、女性及び高齢の農林水産業者が生きがいを持って農林水産業に取り組める環境整備等の施策を講ずるものとする。
(平二六条例二七・令三条例四二・一部改正)
第五節 地球環境の保全への貢献等
(地球環境の保全への貢献)
第二十五条 県は、農林水産業の自然循環機能を活用することにより、地球環境の保全に貢献する農林水産業を推進するため、森林吸収源対策(二酸化炭素を吸収する樹木の成長を促すために植林、間伐等の森林の整備を進める取組をいう。)、バイオマス資源(再生産が可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものをいう。)の循環利用、地球温暖化の防止に関する技術開発、生物の多様性が有する機能の保全、田園環境の再生及び創造、自然との共生等の支援のための施策を講ずるものとする。
(環境に配慮した農業の推進)
第二十六条 県は、環境と調和のとれた農業生産の確保を図るため、有機農業をはじめとした環境保全型農業の推進、耕種農家と畜産農家の連携強化によるたい肥の流通及び利用の推進等の施策を講ずるものとする。
(環境に配慮した林業の推進)
第二十七条 県は、森林の持つ多面的機能を持続的に発揮させるため、健全で多様な森林へ誘導する間伐の推進、広葉樹の育成等の森林の整備の支援のための施策を講ずるものとする。
(環境に配慮した水産業の推進)
第二十八条 県は、漁場環境を保全するため、漁場環境の監視及び藻場の造成の推進並びに掃海作業及び海岸清掃の支援のための施策を講ずるものとする。
第六節 新たな技術の開発及び普及
第二十九条 県は、創意工夫を生かし、高い技術力に裏付けされたとくしまブランドの創出等を図るため、試験研究体制を整備するとともに、産学官の連携(農林水産業者、農林水産関係団体、企業、大学等、国、県又は市町村が相互に連携することをいう。)に努め、本県独自の農林水産物の創出並びに多様な農林水産業の担い手に対応した高度化、省資源化及び省力化のための技術の開発並びに研究成果の迅速な普及等の施策を講ずるものとする。
第七節 農商工連携の促進
第三十条 県は、農林水産業者等の経営の改善を図るため、高品質で多種多様な本県の農林水産物と本県の中小企業者等が有する食品加工、機械開発等の高い生産技術等とを有機的に連携させ、農林水産業者及び中小企業者等のそれぞれの経営資源を生かした農商工連携を促進することにより、新たな商品の開発、新たなサービスの提供、販売促進の強化等を図る取組の支援のための施策を講ずるものとする。
第四章 本県の特長を生かした農山漁村の活性化
(魅力ある農山漁村づくり)
第三十一条 県は、農山漁村の美しい自然環境等を活用して農山漁村を豊かで住みやすく魅力のあるものとするため、住民参加による計画の作成を行うことにより、地域の特性に応じた農林水産業の生産基盤の整備と交通、情報通信、衛生、教育、文化等の生活環境の整備とを一体的に推進するための施策を講ずるものとする。
(中山間地域等への支援)
第三十二条 県は、本県の急峻で狭小な中山間地域等の農林水産業の生産条件が不利な地域においても、その魅力を発信し、農林水産業の持続的な発展を図り、集落及び地域社会を維持していくため、情報通信技術を活用した情報基盤の整備、地域資源を活用した産品の開発及び販売の促進、農林水産業への就業機会の増大等の当該地域における農林水産業者の支援のための施策を講ずるものとする。
(農山漁村と都市との交流促進)
第三十三条 県は、農山漁村の多面的機能の発揮による県民の健康的でゆとりのある生活の達成及び農山漁村の活性化を図るため、グリーンツーリズム等(農山漁村に滞在して行う余暇活動をいう。)及び二地域居住(都市で暮らす人が週末又は一年のうちの一定の期間を農山漁村で暮らすことをいう。)の促進、農山漁村の持つ自然、歴史、文化等の地域資源を活用した農山漁村と都市との間の交流の促進等の施策を講ずるものとする。
(鳥獣による被害の防止)
第三十四条 県は、農山漁村の持続的かつ安定的な発展を図るため、鳥獣(鳥類又は哺乳類に属する野生動物をいう。)による農林水産業に係る被害及び農林水産業者等の生命又は身体に係る被害その他の生活環境に関する被害の防止のための施策を講ずるものとする。
(自然災害に強い農山漁村づくり)
第三十五条 県は、農山漁村で暮らす人々の生命及び財産を守り、安全な生活環境を築くため、土砂災害、水害、地震災害その他の自然災害の防止のための施策を講ずるものとする。
第五章 県民等の参画及び協働による潤いと安らぎのある農山漁村の保全
(県民等の農林水産業への参画等)
第三十六条 県は、農林水産業及び農山漁村の持つ多面的機能を十分に発揮させるため、県民等の農林水産業への体験その他の主体的な参画を促進させるとともに、農林水産業に関する情報の提供及び学習の機会の充実、市民農園の整備の促進等の施策を講ずるものとする。
(多様な主体の協働による農山漁村の保全活動の推進等)
第三十七条 県は、農山漁村の協働力を形成し、県民の生活に潤いと安らぎを与える場としての農山漁村の保全を図るため、県、市町村、県民等、農林水産業者等の多様な主体の協働による農山漁村の保全活動の推進、当該保全活動の拠点となる農林地の提供、当該保全活動に必要な情報の提供等の施策を講ずるものとする。
第六章 雑則
(財政上の措置等)
第三十八条 県は、食料供給の確保及び農林水産業の振興等に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努め、その人材を活用するとともに、その他の県内における利用が可能な財政的資源及び人材の活用について協力の要請に努めるものとする。
(意見の聴取等)
第三十九条 知事は、毎年度、次に掲げる事項について、徳島県農林水産審議会に報告し、その意見を聴かなければならない。
一 食料、農林水産業及び農山漁村の動向
二 食料供給の確保及び農林水産業の振興等に関する施策の実施状況及びその効果
2 知事は、毎年度、前項各号に掲げる事項について議会に報告するとともに、これらを公表しなければならない。
附則
この条例は、平成二十一年四月一日から施行する。
附則(平成二六年条例第二七号)
この条例は、農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律(平成二十五年法律第百二号)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成二六年四月一日)
附則(令和三年条例第四二号)
この条例は、公布の日から施行する。