○笑顔が踊るとくしま歯と口腔の健康づくり推進条例
平成二十四年二月二十九日
徳島県条例第一号
笑顔が踊るとくしま歯と口腔の健康づくり推進条例をここに公布する。
笑顔が踊るとくしま歯と口腔の健康づくり推進条例
歯と口腔の健康は、乳幼児期等においては健全な成長を促進するための大切な要素であり、高齢期等においては健康な生活を送るための基礎となるほか、糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防にもつながることから、全身の健康の源である。
このため、県においては、関係機関と連携し、乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期に応じた歯科保健に関する事業に取り組んできたところである。
また、今後においては、少子高齢化が進む本県では、県民が生涯にわたり生き生きと暮らしていく上で、健康な歯と口腔を保つことはますます重要になり、特に、妊娠期及び乳幼児期等の歯科保健対策、歯周病対策並びに地域連携の推進等に重点的に取り組む必要がある。
こうした認識の下、県民の歯と口腔の健康づくりに取り組む機運を一層醸成するとともに、人口十万人当たりの歯科医師の数、医師の数などが全国における順位で上位を占める本県の豊富な人材を生かし、行政や関係機関が一体となった体制を整備し、歯と口腔の健康づくりを推進するため、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、歯と口腔の健康づくりが糖尿病等の生活習慣病に関する対策をはじめとする全身の健康の保持増進に果たす役割の重要性に鑑み、歯と口腔の健康づくりの推進に関し、基本理念を定め、県の責務並びに歯科医師等、保健医療等業務従事者、事業者、医療保険者及び県民の役割を明らかにするとともに、歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって県民の生涯にわたる健康の保持増進に寄与することを目的とする。
一 歯と口腔の健康づくり 歯科疾患の予防等により歯と口腔の健康を保持し、若しくは増進し、又はそれらの機能を維持し、若しくは向上させることをいう。
二 歯科医師等 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療又は保健指導に係る業務に従事する者をいう。
三 保健医療等業務従事者 保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の歯と口腔の健康づくりに関連する分野に係る業務に従事する者をいい、歯科医師等を除く。
四 医療保険者 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第七項に規定する医療保険者をいう。
(基本理念)
第三条 歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
一 県民一人一人が自ら歯と口腔の健康づくりに取り組むため、歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進すること。
二 県内の全ての地域において、全ての県民が、乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期において、適切かつ効果的な検診(健康診査及び健康診断を含む。以下同じ。)、保健指導、治療等の歯と口腔の保健医療サービス(以下「歯科保健医療サービス」という。)を受けることができる環境の整備を推進すること。
三 保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の関連する分野の施策との連携を図りつつ、総合的かつ計画的に歯と口腔の健康づくりを推進すること。
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
(市町村との連携)
第五条 県は、歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、歯科口腔保健の推進に関する法律(平成二十三年法律第九十五号)の趣旨を踏まえながら、市町村との連携に努めるものとする。
(歯科医師等及び保健医療等業務従事者の役割)
第六条 歯科医師等は、基本理念に鑑み、保健医療等業務従事者との連携を図ることにより、良質かつ適切な歯科保健医療サービスを提供するとともに、県や市町村が実施する歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 保健医療等業務従事者は、基本理念に鑑み、歯科医師等との連携及び相互の連携を図りながら、歯と口腔の健康づくりの推進に努めるものとする。
(事業者及び医療保険者の役割)
第七条 事業者は、基本理念に鑑み、県内の事業所で雇用する従業員の歯科に係る検診及び歯科保健指導を受ける機会の確保その他の歯と口腔の健康づくりに関する取組を推進するよう努めるものとする。
2 医療保険者は、基本理念に鑑み、被保険者の歯科に係る検診及び歯科保健指導を受ける機会の確保その他の歯と口腔の健康づくりに関する取組を推進するよう努めるものとする。
(県民の役割)
第八条 県民は、歯と口腔の健康づくりが全身の健康の保持増進に重要な役割を果たすことを認識し、生涯にわたる自らの歯と口腔の健康づくりのために、できる限り次に掲げる事項に取り組むものとする。
一 歯と口腔の健康づくりに関する知識及び理解を深めること。
二 県、市町村、歯科医師等、事業者及び医療保険者が行う歯と口腔の健康づくりに関する取組に積極的に参加するとともに、歯科医師等の支援等を受けることにより、歯と口腔の健康づくりに取り組むこと。
(基本計画)
第九条 知事は、歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、歯と口腔の健康づくりに関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 歯と口腔の健康づくりに関する基本的な方針
二 歯と口腔の健康づくりに関する目標
三 歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、基本計画を定めたときは、これを公表しなければならない。
4 前項の規定は、基本計画の変更について準用する。
5 知事は、基本計画に基づいて実施する第十一条の施策の進捗状況及び関係機関の意見を踏まえて、おおむね五年ごとに、基本計画の見直しを行うものとする。
(調査)
第十条 知事は、歯と口腔の健康づくりの総合的かつ計画的な推進を図るため、定期的に県民の歯科疾患等の調査を行うものとする。
(施策の実施)
第十一条 県は、歯と口腔の健康づくりを推進するため、次に掲げる施策を実施するものとする。
一 歯と口腔の健康づくりに関する情報の収集及び提供並びに普及啓発に関すること。
二 県民が定期的に歯科に係る検診を受けること及び必要に応じて歯科保健指導を受けることの促進に関すること。
三 市町村、歯科医師等、保健医療等業務従事者、事業者及び医療保険者との連携を図り、地域の特性に配慮しながら、乳幼児等に係る医療費の助成制度を活用した乳幼児等に係る歯科保健医療サービスその他の乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期に適した歯科保健医療サービスに取り組むこと。
四 フッ化物応用その他の科学的根拠に基づく歯科疾患の予防対策等の支援に関すること。
五 歯科医師等の資質の向上に関すること。
六 歯周病予防及び糖尿病予防に対する県民の関心及び理解を深めることによる歯周病予防対策の推進に関すること。
七 歯科と医科の各分野間の連携体制強化のための取組の推進に関すること。
八 八〇二〇運動(八十歳になっても自分の歯を二十本以上保つことを目標に、歯と口腔の健康づくりを進める運動をいう。)及びオーラルフレイル対策(心身の機能の低下につながる口腔機能の虚弱な状態を早期に把握し、及び回復させ、並びに当該状態となることを未然に防ぐための取組をいう。)の推進に関すること。
九 障がい者、介護を必要とする高齢者、入院患者、中山間地域に居住している者、被災者その他の者であって歯科保健及び歯科医療、定期的な歯科に係る検診又は口腔機能の管理を受けることが困難なものについての、歯科医師等、保健医療等業務従事者及び医療保険者との連携の強化による充実した歯科保健及び歯科医療、定期的な歯科に係る検診並びに口腔機能の管理を受けることのできる体制づくりの支援に関すること。
十 前各号に掲げるもののほか、歯と口腔の健康づくりの推進に関し必要な施策
(平二五条例五六・平三〇条例五九・一部改正)
(財政上の措置等)
第十二条 県は、歯と口腔の健康づくりの推進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置、人材の確保その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成二五年条例第五六号)
この条例は、平成二十六年一月一日から施行する。
附則(平成三〇年条例第五九号)
この条例は、公布の日から施行する。