○徳島県子どものはぐくみ条例

平成二十五年三月二十二日

徳島県条例第十四号

徳島県子どものはぐくみ条例をここに公布する。

徳島県子どものはぐくみ条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第十条)

第二章 はぐくみ憲章及び実施計画(第十一条・第十二条)

第三章 子どものはぐくみに関する基本的施策(第十三条―第二十三条)

第四章 子どものはぐくみに関する気運の醸成(第二十四条・第二十五条)

附則

子どもは、私たちの生命を受け継ぐかけがえのない宝物であり、未来への希望である。誰もが安心して子どもを生み、子育てに喜びを感じられることや、全ての子どもが等しく健やかに成長することは、私たちの願いである。

この願いの実現に向け、私たちは共に手を取り合い、歩んでいかなければならない。

まずは、子どもを生き生きと、かつ、伸び伸びと育む環境づくりを進めるとともに、子どもとしっかり向き合い、共に過ごし、そして触れ合う時間を大切にしていく。

それから、子どもが安心して学び、遊び、そして暮らせるよう、その心身と生活を守るとともに、子どもと子育て家庭を支える地域社会づくりを進めていく。

また、子育てを楽しみながら自らも成長しようとする男性を応援し、家族のきずなを深めることや、子どもや若者にも子育ての喜びを伝え、結婚や出産への気運を高めることも忘れてはならない。

ここに、私たちは、子どもと子育て家庭を取り巻く社会の状況にしっかりと対応するとともに、将来にわたって次代の社会を担う子ども及び子育てを担う者を育んでいくため、この条例を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、子どものはぐくみに関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務並びに子育て支援団体の役割を明らかにするとともに、子どものはぐくみに関する施策の基本となる事項を定めることにより、子どものはぐくみを総合的かつ計画的に推進し、もって子どもを大切に育み、子育ての喜びを分かち合える地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 子ども 十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者をいう。

 子どものはぐくみ 子どもの人権の擁護、子育て支援、少子化対策その他の子ども及び子育てに関する課題に対処しながら次代の社会を担う子ども及び子育てを担う者を育むことをいう。

 子育て支援団体 子育て支援の取組を行う団体をいう。

(基本理念)

第三条 子どものはぐくみは、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

 子どもの権利を尊重するとともに、その最善の利益を考慮すること。

 父母その他の保護者(以下「保護者」という。)が、子育てにおいて第一義的責任を有すること。

 県並びに県民、事業者、子育て支援団体及び市町村その他の関係機関等(以下「県民等」という。)が、相互に連携を図りながら社会全体で取り組むこと。

 結婚及び出産に関する個人の意思及び多様な価値観を尊重すること。

(県の責務)

第四条 県は、前条に規定する子どものはぐくみについての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子どものはぐくみに関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。

(市町村との連携)

第五条 県は、子どものはぐくみに関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、市町村と連携を図りながら協力して取り組むものとする。

(県民の責務)

第六条 県民は、基本理念にのっとり、子どものはぐくみの重要性について理解を深め、積極的に子どものはぐくみに取り組むものとする。

2 県民は、県及び市町村が実施する子どものはぐくみに関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第七条 事業者は、基本理念にのっとり、子どものはぐくみの重要性について理解を深め、その雇用する労働者が仕事と子育てとの両立を図ることができるよう必要な環境の整備に努めるものとする。

2 事業者は、県及び市町村が実施する子どものはぐくみに関する施策に協力するよう努めるものとする。

(子育て支援団体の役割)

第八条 子育て支援団体は、基本理念にのっとり、その取組の充実に努めるとともに、その活動を通じ、子育て家庭と地域社会とをつなぐ役割を果たすものとする。

(推進体制の整備)

第九条 県は、県及び県民等が連携して子どものはぐくみを推進するための体制を整備するものとする。

(財政上の措置)

第十条 県は、子どものはぐくみに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第二章 はぐくみ憲章及び実施計画

(はぐくみ憲章)

第十一条 知事は、子どものはぐくみに関する県民、事業者及び子育て支援団体の日常の行動の指針として、子どものはぐくみに関する憲章(以下「はぐくみ憲章」という。)を定めるものとする。

2 知事は、はぐくみ憲章を定めるに当たっては、県民、事業者及び子育て支援団体の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

3 前項の規定は、はぐくみ憲章の変更について準用する。

(実施計画)

第十二条 知事は、子どものはぐくみに関する施策の総合的な実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を定めるものとする。

2 実施計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 子どものはぐくみに関する施策の実施により達成しようとする目標

 実施しようとする子どものはぐくみに関する施策の内容及びその実施時期

3 知事は、実施計画を定めるに当たっては、県民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

4 知事は、実施計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前二項の規定は、実施計画の変更について準用する。

第三章 子どものはぐくみに関する基本的施策

(子育て家庭を支える地域社会の形成)

第十三条 県は、子育て家庭を支える地域社会の形成に資するため、子育て支援の拠点の整備及び子育て支援団体の取組を支援するとともに、子育て支援に関する啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。

(保護者の経済的負担の軽減等)

第十四条 県は、保護者の経済的負担の軽減を図るため、子どもの医療、教育等に係る費用の負担の軽減その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、母子家庭、父子家庭等の生活の安定及び向上を図るため、その経済的自立に向けた支援その他の必要な措置を講ずるものとする。

(良質かつ適切な教育及び保育の確保等)

第十五条 県は、就学前の子どもに対し、義務教育及びその後の教育の基礎を培う良質かつ適切な教育及び保育が行われるよう、子ども及び子育て家庭の状況並びに市町村の実情に応じた必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、子育て家庭の多様な保育に対する需要に対応するため、時間外保育(保育所その他の場所において、休日、夜間等保育を通常行わない日又は時間において保育を行うことをいう。)、病児保育(保護者の労働又は疾病その他の事由により家庭において保育を受けることが困難である乳幼児又は小学校に就学している子どもであって、疾病にかかっているものについて、保育所、病院その他の施設において保育を行うことをいう。)、一時預かり(家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児について、主として昼間において、保育所その他の場所において、一時的に預かり、必要な保護を行うことをいう。)及び放課後における小学校に就学している子どもの健全育成に関する活動の実施に対する支援その他の必要な措置を講ずるものとする。

3 県は、子ども一人一人に行き届いたきめ細やかな学校教育の実現を目指し、少人数による学級編制その他の必要な措置を講ずるものとする。

(仕事と子育てとの両立の推進)

第十六条 県は、保護者の仕事と子育てとの両立が図られるよう、次に掲げる事項について県民及び事業者の理解を深めるための啓発を推進するものとする。

 子どもを育てている女性が働き続けることのできる雇用環境の整備

 男性が積極的に育児に参加することの意義

 男女を問わず育児休業をすることができる職場環境の形成

 子どもの看護のための休暇、子育ての時期における短時間の勤務その他の柔軟な働き方

(母子の保健及び医療に係る体制の充実等)

第十七条 県は、母子の保健及び医療に係る体制を充実するため、市町村が実施する妊産婦及び乳幼児に対する健康診査、保健指導その他の母子保健サービスの提供に対する支援を行うとともに、周産期医療、小児医療等を提供する体制の整備を推進するものとする。

2 県は、子どもを生むことを希望する者であって不妊症又は不育症であるものに対し、相談その他の支援を行うものとする。

(食育の推進及び野菜の摂取)

第十八条 県は、子どもが食を通じ、生涯にわたって健全な心身を培うとともに、豊かな人間性を育むことができるよう、食育を推進するものとする。

2 前項の規定による食育の推進に当たっては、子どもが野菜の摂取の重要性を学び、かつ、その摂取量の増加に資するよう配慮するものとする。

(子どもの権利及び利益の尊重に関する啓発)

第十九条 県は、子どもの人権の擁護に資するため、子どもの権利及び利益の尊重に関する啓発を推進するものとする。

2 前項の規定による啓発の推進に当たっては、子ども自身が尊重されていると実感することを通じ、他者を尊重する心が醸成されるよう配慮するものとする。

(子どもの人権侵害の未然の防止等)

第二十条 県は、虐待、いじめその他の子どもの人権侵害を未然に防止し、又は早期に発見し、かつ、これに速やかに対応するため、市町村その他の関係機関等と連携し、相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

(障がい等の早期の発見等のための支援)

第二十一条 県は、子どもの障がい(身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がいをいう。)及び難病(以下「障がい等」という。)の早期の発見並びに障がい等を有する子ども及びその保護者の悩み及び不安の解消に資するため、障がい等に関する専門的な相談、情報の提供その他の支援を行うものとする。

(平二五条例五六・一部改正)

(子育てに配慮した生活環境の整備)

第二十二条 県は、子ども及び保護者が安心して生活を送ることができるよう、良好な居住環境の確保の支援、歩行者の安全に配慮した道路環境の整備その他の子育てに配慮した生活環境の整備を推進するものとする。

(次代の子育てを担う者の育成)

第二十三条 県は、次代の子育てを担う者の育成を促進するため、子ども及び若者が子育ての喜びを知ることができる機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、若者が経済的に困窮していることを理由に結婚及び子どもを生むことを断念することのない社会を目指し、若者の経済的自立の支援を推進するものとする。

3 県は、結婚を望む男女に対し、出会いの場の情報の提供その他の支援を行うものとする。

第四章 子どものはぐくみに関する気運の醸成

(表彰)

第二十四条 知事は、子どものはぐくみに関して著しい功績のあった者に対して、表彰を行うことができる。

(若者交流の日)

第二十五条 県は、若者の結婚及び出産への気運並びに若者が地域における様々な活動に参加することを社会全体で支援する気運を醸成するため、若者交流の日を設ける。

2 若者交流の日は、毎月第一金曜日とする。

3 県は、若者交流の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めるものとする。

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 この条例の施行の際現に定められている子どものはぐくみに関する県の憲章であって、県民、事業者及び子育て支援団体の日常の行動の指針を定めたものは、第十一条第一項の規定により定められたはぐくみ憲章とみなす。

3 この条例の施行の際現に定められている子どものはぐくみに関する県の計画であって、次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第百二十号)第九条第一項の規定に基づくものは、第十二条第一項の規定により定められた実施計画とみなす。

(平成二五年条例第五六号)

この条例は、平成二十六年一月一日から施行する。

徳島県子どものはぐくみ条例

平成25年3月22日 条例第14号

(平成26年1月1日施行)

体系情報
第5編 生/第1章 社会福祉/第5節 児童福祉
沿革情報
平成25年3月22日 条例第14号
平成25年12月19日 条例第56号