○徳島県豊かな森林を守る条例

平成二十五年十二月十九日

徳島県条例第六十七号

徳島県豊かな森林を守る条例をここに公布する。

徳島県豊かな森林を守る条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第八条)

第二章 森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する基本となる施策(第九条―第十三条)

第三章 森林管理重点地域(第十四条―第十七条)

第四章 森林の取引等に関する届出等(第十八条―第三十一条)

第五章 雑則(第三十二条・第三十三条)

第六章 罰則(第三十四条―第三十八条)

附則

豊かな森林は、雨を蓄えて川をなし、その清らかな水が田畑を潤すことで、人々の暮らしが息づく美しい里山の風景を作り上げるとともに、災害から人々の命と暮らしを守り、木材などの林産物を生み出し、更には、地球温暖化を防止するなど、様々な機能を有している。

私たちは、このように豊かな森林からもたらされる数々の恵みを受けながら、幾世代にわたって森の文化や木の文化を育み、社会経済を発展させてきた。

しかしながら、林業の衰退や森林所有者の高齢化の進行などの社会経済情勢の大きな変化の中で、森林を守り育てるという人間の営みが十分に行われなくなり、森林の放置や荒廃が進み、更には、無秩序な開発などの不適正な利用が大きな災害を引き起こすのではないかという危惧が生じている。

このため、森林の有する水資源及び県土の保全機能を今一度見つめ直し、その機能を将来にわたって維持増進していくため、森林を適正に管理するとともに、無秩序な開発から守るよう努める必要がある。

ここに、私たちは、一人一人が森林に対する理解を深め、私たち自身の手で森林を守り育て、より豊かな状態で次の世代に引き継ぐことを決意し、この条例を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関し、基本理念を定め、県、県民、森林所有者等及び事業者の責務を明らかにするとともに、森林の適正な管理を推進し、森林の適正な利用を図るための措置その他必要な事項を定めることにより、本県の豊かな森林を現在及び将来にわたって守り、次の世代に引き継ぐことを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 森林 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号。以下「法」という。)第二条第一項に規定する森林をいう。

 森林所有者等 県内に存する森林の土地について、所有権、地上権、地役権、賃借権又は使用貸借による権利(以下「所有権等」という。)を有する者をいう。

(基本理念)

第三条 森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進は、県、市町村、県民、森林所有者等及び事業者がそれぞれの立場を理解し、役割を果たすとともに、相互の連携及び協力の下に、継続して行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する施策を計画的かつ総合的に実施するものとする。

2 県は、森林の有する水資源及び県土の保全機能が持続的に発揮できるよう、将来にわたって森林の整備及び保全に努めなければならない。

(市町村との連携等)

第五条 県は、市町村が実施する森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する施策に対して、連携協力するとともに、必要があると認めるときは、市町村に対し、県が実施する施策への協力を要請するものとする。

(県民の責務)

第六条 県民は、基本理念にのっとり、森林の有する水資源及び県土の保全機能に関する理解を深め、県及び市町村が実施する森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(森林所有者等の責務)

第七条 森林所有者等は、基本理念にのっとり、森林の有する水資源及び県土の保全機能の重要性を深く認識し、森林の適正な保全に努めるとともに、県及び市町村が実施する森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第八条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進について十分配慮するとともに、県及び市町村が実施する森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第二章 森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する基本となる施策

(施策の基本方針)

第九条 県は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に資するため、森林が健全で良好な状態に保たれるよう、森林の有する水資源及び県土の保全機能の重要度に応じた適正な土地の管理及び利用の確保に努めるものとする。

2 県は、林業、木材産業その他の森林に関連する産業の重要性に鑑み、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する施策の推進に当たっては、これらの産業との調和を図り、これらの産業の持続的かつ健全な発展が図られるよう努めるものとする。

3 県は、森林所有者等又は事業者が適切に森林の保全及び林業生産活動を行えるよう、必要な措置に努めるものとする。

(協働管理)

第十条 県は、管理の行き届かないおそれがある森林の整備及び保全に当たり、県民の協力が得られるよう森林の管理の状況の把握に努めるものとする。

2 県は、県民、県民が組織する団体、企業等の多様な主体が協働して、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るための活動を行えるよう、必要な措置に努めるものとする。

(公的管理)

第十一条 県は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため必要があるときは、法に基づく保安林制度を活用するとともに、市町村その他規則で定める法人等による森林経営の受託による森林の管理を推進するものとする。

2 県は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため必要があるときは、地方公共団体その他規則で定める法人等による森林の取得及び管理を推進するものとする。

(体制整備)

第十二条 県は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため、第十条の規定による協働管理及び前条の規定による公的管理を推進する体制の整備に努めるものとする。

(普及啓発等)

第十三条 県は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する施策に対する県民、森林所有者等及び事業者の理解を促進するため、これらの者の森林に関する意識の高揚が図られるよう普及啓発その他必要な措置を講ずるものとする。

第三章 森林管理重点地域

(指定)

第十四条 知事は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため必要があると認めるときは、次の各号に掲げる種別に応じ、当該各号に定める地域を森林管理重点地域として指定することができる。

 第一種森林管理重点地域 森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため、特定の行為を制限して管理すべき地域

 第二種森林管理重点地域 森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため、法に基づく計画的な林業生産活動により管理すべき地域(前号に掲げる地域を除く。)

 第三種森林管理重点地域 森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため、森林を整備し、及び保全する必要がある地域

2 知事は、前項の規定による指定(以下「指定」という。)をしようとするときは、林業、木材産業その他の森林に関連する産業との調和に配慮するとともに、あらかじめ、関係市町村長の意見を聴かなければならない。

3 知事は、指定をしようとするときは、あらかじめ、その旨を告示し、当該告示の日から三十日間、指定の種別及び指定をしようとする区域の案(次項において「指定案」という。)を公衆の縦覧に供しなければならない。

4 前項の規定による告示があったときは、指定をしようとする区域の森林所有者等その他の利害関係人は、同項の規定による縦覧の期間の満了の日までに、規則で定めるところにより、指定案について、知事に意見を提出することができる。

5 知事は、指定をするときは、その旨並びに指定の種別及び区域を告示しなければならない。

6 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。

7 第三種森林管理重点地域内において、第一種森林管理重点地域又は第二種森林管理重点地域の指定が重複している場合は、第十八条第一項ただし書の規定は、適用しない。

(指定の要請)

第十五条 市町村長は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため必要があると認めるときは、知事に対し、当該市町村内の区域について指定をするよう要請することができる。

(指定の失効)

第十六条 第一種森林管理重点地域の指定は、当該第一種森林管理重点地域が法の規定に基づき保安林に指定されたときは、その効力を失うものとする。

2 知事は、前項の規定により第一種森林管理重点地域の指定の効力が失われたときは、その旨並びにその区域及び効力が失われた日を告示するものとする。

(指定の解除)

第十七条 知事は、前条第一項に規定する場合のほか、指定の必要がなくなったと認めるとき又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。

2 第十四条第三項から第六項までの規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

第四章 森林の取引等に関する届出等

(土地売買等の契約の届出)

第十八条 森林所有者等は、森林管理重点地域内において森林の土地の所有権等の移転等を伴う契約(規則で定める契約に限る。以下「土地売買等の契約」という。)を締結しようとするときは、規則で定めるところにより、土地売買等の契約を締結しようとする日の九十日前(当該土地が第二種森林管理重点地域内にあり、かつ、所有権等の移転等の後における利用目的が林業に資するものであると知事が認める場合にあっては、三十日前)までに、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。ただし、当該土地が第三種森林管理重点地域内にあり、かつ、所有権等の移転等の対象となる土地の面積が一ヘクタール未満の場合は、この限りでない。

 土地売買等の契約の当事者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 土地売買等の契約に係る土地の所在及び面積

 土地売買等の契約に係る土地の所有権等の種別及び内容

 土地売買等の契約に係る土地の所有権等の移転等の後における利用目的

 土地売買等の契約を締結しようとする日

 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合は、適用しない。

 土地売買等の契約の当事者の一方又は双方が国、地方公共団体その他規則で定める法人である場合

 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合

 前二号に掲げる場合のほか、規則で定める場合

3 土地売買等の契約を締結しようとする日が森林管理重点地域の指定の日から九十日以内である場合(次項に規定する場合を除く。)における第一項の規定の適用については、同項中「土地売買等の契約を締結しようとする日の九十日前」とあるのは「あらかじめ」と、「三十日前)までに」とあるのは「土地売買等の契約を締結しようとする日の三十日前までに)」とする。

4 土地売買等の契約を締結しようとする日が第二種森林管理重点地域の指定の日から三十日以内である場合における第一項の規定の適用については、同項中「土地売買等の契約を締結しようとする日の九十日前(当該土地が第二種森林管理重点地域内にあり、かつ、所有権等の移転等の後における利用目的が林業に資するものであると知事が認める場合にあっては、三十日前)までに」とあるのは、「あらかじめ」とする。

5 第一項の規定による届出をした者は、同項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、その事由が発生した日から十日を経過する日又は土地売買等の契約を締結する日のいずれか早い日までに、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

(土地売買等の契約を希望している場合における届出)

第十九条 森林所有者等は、森林管理重点地域内の土地について、土地売買等の契約を希望している場合(前条第一項の規定による届出をしている場合を除く。)には、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出ることができる。

 当該土地の所在及び面積

 当該土地の所有権等の種別及び内容

 前二号に掲げるもののほか、規則で定める事項

(支配関係の届出)

第二十条 一の者が森林所有者等(法人に限る。以下この条において同じ。)の総株主又は総社員の議決権の過半数を有することその他の事由を通じて森林所有者等の財務及び事業の方針の決定を支配することとなった場合は、当該森林所有者等は、その事由が発生した日(会社法(平成十七年法律第八十六号)第百二十四条第一項の基準日を定めている株式会社にあっては、当該基準日)から三十日以内に、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

 当該一の者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 当該森林所有者等の総株主又は総社員の議決権の総数及びそのうち当該一の者の議決権数

 届出事由が発生した日

 森林管理重点地域内に当該森林所有者等が所有権等を有する土地の所在及び面積並びに当該所有権等の種別及び内容

 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項

2 前項の規定は、一の者又は森林所有者等が国、地方公共団体その他規則で定める法人であるときは、適用しない。

(市町村への通知等)

第二十一条 知事は、第十八条第一項若しくは第五項第十九条又は前条第一項の規定による届出があったときは、遅滞なく、これらの届出の内容を関係市町村長に通知するものとする。

2 知事は、必要があると認めるときは、関係市町村長に対し、第十八条第一項若しくは第五項第十九条又は前条第一項の規定による届出に係る土地の利用に関し、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進の見地からの意見を求めることができる。

3 知事は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため必要があると認めるときは、関係市町村長に対し、森林管理重点地域内の土地の所有又は利用の状況に関し必要な情報の提供を求めることができる。

(助言)

第二十二条 知事は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため必要があると認めるときは、第十八条第一項若しくは第五項第十九条若しくは第二十条第一項の規定による届出をした者又は第十八条第一項若しくは第五項の規定による届出に係る土地の所有権等の移転等を受けようとする者に対し、当該届出に係る土地の利用に関し、必要な助言を行うことができる。

2 知事は、前項の規定による助言を行うに当たっては、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進に関する基本となる施策について説明しなければならない。

3 第一項の規定による助言を受けた者(第十八条第一項又は第五項の規定による届出をした者に限る。)は、当該届出に係る土地の所有権等の移転等を受けようとする者に対し、当該助言の内容を伝達しなければならない。

(立木の伐採の制限)

第二十三条 第一種森林管理重点地域内においては、単一年度に一箇所当たり二十ヘクタールを超える皆伐による伐採をしてはならない。

(小規模林地開発行為等の届出)

第二十四条 第一種森林管理重点地域内において土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為で規則で定める規模のもの又は水資源を採取する設備(規則で定めるものに限る。)の設置(以下これらを「小規模林地開発行為等」という。)を行おうとする者は、小規模林地開発行為等を開始しようとする日の三十日前までに、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

 小規模林地開発行為等の目的

 小規模林地開発行為等を行う土地の区域(以下「小規模林地開発等区域」という。)の所在及び面積

 小規模林地開発行為等の期間

 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合は、適用しない。

 法第十条の二第一項各号のいずれかに該当する場合

 農業、林業又は漁業を営むために行う場合

 前二号に掲げる場合のほか、規則で定める場合

3 第一種森林管理重点地域の指定の際現に当該第一種森林管理重点地域内において小規模林地開発行為等を行っている場合における第一項の規定の適用については、同項中「小規模林地開発行為等を開始しようとする日の三十日前までに」とあるのは、「第一種森林管理重点地域の指定の日から三十日以内に」とする。

4 小規模林地開発行為等を開始しようとする日が、第一種森林管理重点地域の指定の日から三十日以内である場合における第一項の規定の適用については、同項中「小規模林地開発行為等を開始しようとする日の三十日前までに」とあるのは、「あらかじめ」とする。

5 第一項の規定による届出をした者(以下「届出開発者」という。)は、同項各号に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

6 届出開発者は、小規模林地開発行為等を完了し、又は中止したときは、当該完了又は中止の日から十日以内に、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

(小規模林地開発等区域内における行為の制限)

第二十五条 届出開発者は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。

 小規模林地開発等区域内の森林の小規模林地開発行為等の開始の際現に有する水源のかん養の機能からみて、当該機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがある行為

 小規模林地開発等区域内の森林の小規模林地開発行為等の開始の際現に有する土地に関する災害の防止の機能からみて、当該小規模林地開発等区域の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがある行為

 小規模林地開発等区域内の森林の小規模林地開発行為等の開始の際現に有する水害の防止の機能からみて、当該機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがある行為

(地位の承継)

第二十六条 届出開発者が当該届出に係る事業の全部を譲渡し、又は届出開発者について相続、合併若しくは分割(当該届出に係る事業の全部を承継させるものに限る。)があったときは、その事業の全部を譲り受けた者又は相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは分割によりその事業の全部を承継した法人は、当該届出開発者の地位を承継する。

2 前項の規定により届出開発者の地位を承継した者は、当該承継の日から三十日以内に、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

(指導)

第二十七条 知事は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため必要があると認めるときは、届出開発者に対し、当該小規模林地開発行為等に関し、必要な指導を行うことができる。

(報告の徴収及び立入調査等)

第二十八条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、第十八条第一項の規定による届出をした者に対し、土地売買等の契約に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、当該届出に係る土地に立ち入り、当該土地の利用が森林の有する水資源及び県土の保全機能に及ぼす影響を調査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 知事は、この条例の施行に必要な限度において、届出開発者に対し、小規模林地開発行為等に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、小規模林地開発等区域に立ち入り、当該小規模林地開発行為等が森林の有する水資源及び県土の保全機能に及ぼす影響を調査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

3 前二項の規定により立入調査等を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者から請求があったときは、これを提示しなければならない。

4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(勧告)

第二十九条 知事は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため必要があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する者に対し、期限を定めて必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

 第十八条第一項又は第五項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 第二十四条第一項第五項又は第六項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 第二十六条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 第二十七条の規定による指導に正当な理由がなく従わなかった者

 前条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

 前条第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

(命令)

第三十条 知事は、前条の規定による勧告を受けた者(同条第一号又は第五号に掲げる者を除く。)が正当な理由がなく当該勧告に従わなかったときは、その者に対し、当該勧告に従うべきことを命ずることができる。

2 知事は、森林の有する水資源及び県土の保全機能の維持増進を図るため必要があると認めるときは、第一種森林管理重点地域内において小規模林地開発行為等を行い、又は行った者に対し、その判断の根拠を示して、小規模林地開発行為等の中止を命じ、又は期限を定めて復旧に必要な行為をすべきことを命ずることができる。

(公表)

第三十一条 知事は、第二十九条の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなく当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。

2 知事は、前条第一項又は第二項の規定による命令を受けた者が、正当な理由がなく当該命令に従わないときは、その旨を公表することができる。

3 知事は、前二項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表の対象となる者に対し、証拠を提出し、及び意見を述べる機会を与えなければならない。

第五章 雑則

(市町村の条例との関係)

第三十二条 知事は、市町村が制定した条例の規定の内容により、当該市町村がこの条例の目的の全部又は一部を達成することができると認めるときは、当該市町村の区域について、この条例の規定(当該目的に係る部分に限る。)を適用しないこととすることができる。

2 前項の規定によりこの条例の規定を適用しないこととする市町村の区域及びこの条例の規定のうち当該市町村の区域において適用しないこととする規定については、規則で定める。

(規則への委任)

第三十三条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第六章 罰則

第三十四条 第三十条第二項の規定による命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

第三十五条 第三十条第一項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第三十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

 第二十四条第一項第五項又は第六項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 第二十八条第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

第三十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の過料に処する。

 第十八条第一項又は第五項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 第二十八条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

この条例は、平成二十六年四月一日から施行する。ただし、第三章第四章及び第六章の規定は、同年十月一日から施行する。

徳島県豊かな森林を守る条例

平成25年12月19日 条例第67号

(平成26年10月1日施行)

体系情報
第10編 務/第1章
沿革情報
平成25年12月19日 条例第67号