○徳島県スポーツ推進条例

平成二十六年三月二十日

徳島県条例第四十三号

徳島県スポーツ推進条例をここに公布する。

徳島県スポーツ推進条例

徳島県は、剣山、吉野川及び県南部の海岸線をはじめとする豊かな自然を生かしたグラススキー、ラフティング、サーフィン等のアウトドアスポーツが盛んである。また、春の風物詩であるとくしまマラソンの開催や、県民に誇りと喜び、夢と感動を与えるスポーツ選手の活躍等を通して、県民のスポーツに対する関心が一層の高まりを見せている。そして、こうしたスポーツに親しみ、又はスポーツを楽しむため、広く県内外から訪れる人々を温かく迎えるお接待の文化が、本県には古くから根付いている。

このような本県の特性に加え、スポーツは、心身の健全な発達、健康の保持増進並びに体力及び運動能力の向上に重要な役割を果たす運動競技その他の身体活動であるとともに、他者を尊重しこれと協同する精神、公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培い、特に青少年の健全な育成及び人格の形成に資するものである。

さらに、スポーツは、家族や仲間とのふれあいを生み、地域間の交流を促進し、地域の連帯感や郷土を愛する心を醸成するものであり、人間関係の希薄化等の問題を抱える地域社会の再生に寄与するものである。

こうした県民生活においてスポーツが有する役割の重要性等に鑑み、スポーツの推進についての基本理念を明らかにしてその方向性を示し、県民の理解と参画のもとに、スポーツに関する環境の整備に努め、本県のスポーツ人口の増加や競技力の向上を目指し、スポーツによる明るく豊かな県民生活を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、スポーツの推進に関し、基本理念を定め、県の責務並びにスポーツ団体、県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、スポーツの推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、スポーツの推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施し、もって県民の心身ともに健康な生活及び活力ある地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において「スポーツ団体」とは、スポーツの振興のための事業を行うことを主たる目的とする団体をいう。

2 この条例において「スポーツ活動」とは、スポーツを行い、指導し、若しくは観戦し、又はスポーツの競技会その他の催しの運営に携わる活動をいう。

(基本理念)

第三条 スポーツの推進は、全ての県民が、少年期、青年期、壮年期、高年期等の各段階(以下「ライフステージ」という。)において、スポーツの有する意義について理解を深め、その関心、適性及び健康状態に応じ、身近にスポーツに親しむことができるよう行われなければならない。

2 スポーツの推進は、スポーツを行う者の心身の健康の保持増進及び安全の確保が図られるよう行われなければならない。

3 スポーツの推進は、青少年の体力の向上を図るとともに、公正さ及び規律を尊ぶ態度、克己心等を培い、豊かな人間性が育まれるよう行われなければならない。

4 スポーツの推進は、障がい者が積極的にスポーツに参加することができるよう、その障がいの種類及び程度に応じ、必要な配慮をしつつ行われなければならない。

5 スポーツの推進は、県内に居住したことがあり、若しくは県内に活動の拠点を置くスポーツ選手(プロスポーツの選手を含む。以下同じ。)又は県内に活動の拠点を置くスポーツチーム(以下「県のスポーツ選手等」という。)が国際的又は全国的な規模のスポーツの競技会において優秀な成績を収めることができるよう、スポーツに関する競技水準(以下「競技水準」という。)の向上に資する施策相互の有機的な連携を図りつつ、効果的に行われなければならない。

6 スポーツの推進は、世代間及び地域間の交流の基盤が形成され、かつ、その交流が促進されるよう行われなければならない。

7 スポーツの推進は、県のスポーツ選手等の活動を応援する社会的気運を高め、県民の一体感及び活力が醸成されるよう行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、スポーツの推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。

(スポーツ団体の役割)

第五条 スポーツ団体は、スポーツの普及及び競技水準の向上のため、基本理念にのっとり、スポーツの推進に主体的に取り組むよう努めるものとする。

(県民及び事業者の役割)

第六条 県民及び事業者は、スポーツの県民生活及び地域社会において果たす役割について、理解を深め、将来の世代への継承に配慮するよう努めるとともに、地域におけるスポーツの発展に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

(関係者相互の連携及び協働)

第七条 県、スポーツ団体、県民及び事業者その他の関係者は、基本理念にのっとり、相互に連携を図りながら協働するよう努めるものとする。

(推進計画の策定)

第八条 知事は、スポーツの推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、スポーツの推進に関する計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。

2 知事は、推進計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

3 前項の規定は、推進計画の変更について準用する。

(県民のスポーツ活動への参加の促進)

第九条 県は、スポーツに対する県民の関心を高め、その関心、適性及び健康状態に応じたスポーツ活動への自主的な参加を促進するよう努めるものとする。

(ライフステージ等に応じたスポーツ活動の推進)

第十条 県は、全ての県民が生涯にわたって、ライフステージ、体力、技術、目的等に応じて、身近にスポーツに親しむことができるよう、スポーツ活動に参加する機会の提供、地域におけるスポーツ活動を担う人材及び地域スポーツクラブ(地域の住民が主体的に運営するスポーツ団体であって、ライフステージ、体力、技術、目的等に配慮しつつ、地域の住民に対しスポーツ活動に参加する機会を提供するものをいう。以下同じ。)の育成その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(スポーツ施設の整備等)

第十一条 県は、県民のスポーツ活動の場の充実を図るため、県が設置するスポーツ施設(スポーツ施設の設備を含む。次項において同じ。)の整備並びに機能の維持及び改善に努めるものとする。

2 県は、県が設置する学校の教育に支障のない限り、当該学校のスポーツ施設を県民がスポーツ活動の場として、有効に活用することができるよう配慮するものとする。

(心身の健康の保持増進のためのスポーツの推進)

第十二条 県は、県民の心身の健康の保持増進のためのスポーツを推進するため、当該スポーツに関する情報の提供その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(青少年のスポーツに参加する機会の提供等)

第十三条 県は、青少年の心身の健全な発達及び体力の向上を図るため、青少年がスポーツに参加する機会の提供その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(学校における体育の充実)

第十四条 県は、学校における体育の充実を図るため、体育に関する教員の資質の向上に努めるとともに、地域におけるスポーツ活動を担う人材の活用、環境の整備その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(障がい者のスポーツ活動の推進)

第十五条 県は、障がい者が積極的にスポーツ活動に参加することができるよう、その障がいの種類及び程度に応じたスポーツへの参加の機会の提供、障がい者のスポーツ活動に携わる人材の育成その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(競技水準の向上)

第十六条 県は、競技水準の向上を図るため、市町村、スポーツ団体等と協力し、スポーツ選手の計画的な育成、スポーツ指導者の確保及び養成、スポーツに関する医学をはじめとする科学の活用その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(スポーツを通じた地域の活性化等)

第十七条 県は、スポーツを通じた地域の活性化及び一体感の醸成並びに県の情報の全国への発信を図るため、県のスポーツ選手等と県民との交流又は地域スポーツクラブ相互の交流の促進、スポーツの競技会その他の催しの開催、県外からのスポーツの合宿の誘致その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(顕彰)

第十八条 県は、スポーツの競技会において特に優秀な成績を収めた者及びスポーツの推進に特に功績があったと認められる者の顕彰を行うものとする。

(財政上の措置)

第十九条 県は、スポーツの推進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 この条例の施行の際現に策定されているスポーツの推進に関する県の計画であって、スポーツの推進に関する施策の総合的かつ計画的な実施を図るためのものは、第八条第一項の規定により策定された推進計画とみなす。

徳島県スポーツ推進条例

平成26年3月20日 条例第43号

(平成26年3月20日施行)