○徳島県こども未来応援条例
令和六年三月十九日
徳島県条例第三十三号
徳島県こども未来応援条例をここに公布する。
徳島県こども未来応援条例
こどもは、次代を担う未来への希望、かけがえのない宝である。
こどもは、大人の支援を受けながら自立した個人として自己を確立していく権利の主体であり、生きる、育つ、守られる、参加する権利をはじめとしたこどもの権利が尊重されなければならない。
私たちはこれまで、こどもに関する各般の施策を実施し、様々な取組を着実に前に進めてきたものの、少子化の進行には歯止めがかからず、本県の人口は減少の一途をたどっている。さらに、近年、児童虐待の増加やこどもの貧困など、こどもを取り巻く環境は深刻さを増している。
このような状況に鑑み、今こそ、こどもに関する施策を社会のまんなかに据えて強力に推進し、少子化を食い止めるとともに、こどもの最善の利益を第一に考慮し、こどもの意見に耳を傾けながら、全てのこどもが未来に夢や希望をもって、伸び伸びと成長できる環境づくりに社会全体で取り組んでいかなければならない。
こうした認識のもと、子育て支援の充実強化や、その施策を支える基金等の安定的な財源の確保を図るとともに、こどもの健やかな成長の根幹をなすこどもの権利の尊重に取り組み、全てのこどもが自分らしく、安心して、笑顔で生き生きと暮らせる社会を実現するため、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、こどもの健やかな成長への支援についての基本理念及び県が取り組むべき施策の基本となる事項を定めることにより、全てのこどもが自分らしく、安心して、笑顔で生き生きと暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において「こども」とは、心身の発達過程にある者をいう。ただし、こどもに関する施策の実施に当たっては、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとする。
(基本理念)
第三条 こどもの健やかな成長への支援は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとしたこどもの権利(以下「こどもの権利」という。)を尊重し、こどもの意見に耳を傾け、こどもの最善の利益を考慮し、行われなければならない。
2 こどもの健やかな成長への支援は、知事その他の執行機関及び県議会並びに事業者、市町村その他の関係機関が連携するとともに、県民がその取組について関心や理解を深めることにより、社会全体で推進されなければならない。
(こどもの意見表明及び社会参加の促進並びに施策の情報提供等)
第四条 県は、こどもが社会の一員として自分の意見を表明し、年齢及び成長過程に応じ社会に参加する機会を設け、その意見を尊重するとともに、こどもの主体的な活動を支援するよう努めるものとする。
2 県は、こどもに関する施策について、こども自身が理解を深めることができるよう、こどもの視点に立った情報及び学ぶ機会の提供に努めるものとする。
(こどもからの相談への対応)
第五条 県は、こどもが不安や悩みを安心して相談できるよう、関係機関等と連携し、相談体制の強化に努めるものとする。
(こどもの権利擁護)
第六条 県は、こどもの健やかな成長を支援するため、いじめ、虐待その他の身体的及び精神的な暴力の防止と早期発見に努めるとともに、こどもが権利侵害その他の不利益を受けた場合においては、専門的知見に基づいて適切かつ迅速に救済を図るよう最大限努めるものとする。
(こどもの居場所づくり)
第七条 県は、こどもが地域において安全・安心に交流し、自分らしく過ごすことができる多様な居場所づくりを推進するものとする。
(困難な状況のこども及び子育て家庭への支援)
第八条 県は、こどもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、経済的困難を抱えるこどもや特別な配慮を要するこどもに対する学びへの支援、生活の安定に資する支援をはじめ、こども及び子育て家庭に寄り添ったきめ細やかな支援に努めるものとする。
(こどもの権利の広報、啓発等及び社会的気運の醸成)
第九条 県は、こどもの権利及び利益の尊重に関する理解を深めるため、広報、啓発等を推進するものとする。
2 県は、第三条に規定する基本理念が地域社会に浸透し、社会全体でこどもへの支援が推進されるよう、気運の醸成に努めるものとする。
(財政上の措置)
第十条 県は、こどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 この条例の施行後おおむね四年ごとに、知事は、この条例の施行状況その他こどもに関する施策の実施状況について検証し、県議会に報告するものとする。