○徳島県希少野生生物の保護及び継承に関する条例
平成十八年三月三十日
徳島県条例第十八号
徳島県希少野生生物の保護及び継承に関する条例をここに公布する。
徳島県希少野生生物の保護及び継承に関する条例
目次
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 個体等の取扱いに関する規制
第一節 個体等の所有者の義務等(第十一条・第十二条)
第二節 個体の捕獲等の禁止(第十三条―第十七条)
第三章 生息地等の保護に関する規制
第一節 土地の所有者の義務等(第十八条・第十九条)
第二節 希少野生生物保護区等(第二十条―第二十九条)
第四章 外来種対策(第三十条―第三十三条)
第五章 回復事業(第三十四条―第三十八条)
第六章 推進体制の整備等(第三十九条―第四十七条)
第七章 雑則(第四十八条・第四十九条)
第八章 罰則(第五十条―第五十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、県内に生息し、又は生育する野生生物が、生態系の基本的構成要素であり、現在及び将来の県民が生物の多様性の保全された生態系からの恵沢を享受し続けるために欠かすことのできないものであることにかんがみ、徳島県環境基本条例(平成十一年徳島県条例第十一号)の本旨にのっとり、県、県民及び事業者が一体となって、希少野生生物の保護を図るとともに、これを県民共有の貴重な財産として次代に継承し、もって生物の多様性の保全に寄与することを目的とする。
一 その存続に支障を来す程度にその個体の数が少ないもの
二 その個体の数が減少しつつあるもの
三 その個体の生息地又は生育地が消滅しつつあるもの
四 その個体の生息又は生育の環境が悪化しつつあるもの
五 前各号に掲げるもののほか、その存続に支障を来す事情のあるもの
3 この条例において「希少野生生物群」とは、多種の希少野生生物が集中して生息し、又は生育する区域内に生息し、又は生育する希少野生生物であって、知事が指定する複数の希少野生生物をいう。
4 この条例において「外来種」とは、野生生物が本来持つ移動能力を超えて人為により意図的又は非意図的に、過去又は現在の自然分布域以外の地域に導入された種をいう。
5 この条例において「回復事業」とは、指定希少野生生物又は希少野生生物群の生息又は生育に適した条件を積極的に整備することにより、減少した個体数の回復等指定希少野生生物又は希少野生生物群の自然状態での安定的な存続を図るための事業をいう。
(財産権の尊重等)
第三条 県は、この条例の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、住民の生活の安定及び福祉の向上に配慮し、並びに県土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
(県の責務)
第四条 県は、野生生物が置かれている状況を常に把握するとともに、希少野生生物の保護のための総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するものとする。
2 県は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、県民、事業者及びこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体」という。)と協働して取り組むものとする。
3 県は、希少野生生物の保護の必要性について、事業者及び県民(滞在者及び旅行者を含む。以下この章において同じ。)の理解を深めるため、普及啓発等適切な措置を講ずるものとする。
(事業者の責務)
第五条 事業者は、野生生物が生態系の基本的構成要素であることを認識し、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる希少野生生物の個体の生息又は生育の環境への負荷に対し、回避、低減その他の必要な措置を講ずるよう努めるとともに、県及び市町村が実施する希少野生生物の保護に関する施策に協力しなければならない。
(県民の責務)
第六条 県民は、野生生物が生態系の基本的構成要素であることを認識し、希少野生生物の保護に自ら努めるとともに、県及び市町村が実施する希少野生生物の保護に関する施策に協力しなければならない。
(希少野生生物保護基本方針)
第七条 知事は、希少野生生物の保護を総合的かつ計画的に推進するための基本方針(以下「希少野生生物保護基本方針」という。)を定めるものとする。
2 希少野生生物保護基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 希少野生生物の保護に関する基本構想
二 指定希少野生生物の選定に関する基本的な事項
三 指定希少野生生物の個体(卵及び種子を含む。以下同じ。)の取扱いに関する基本的な事項
四 希少野生生物の個体の生息地又は生育地の保護に関する基本的な事項
五 外来種対策に関する基本的な事項
六 回復事業に関する基本的な事項
七 前各号に掲げるもののほか、希少野生生物の保護に関する重要事項
3 知事は、希少野生生物保護基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、徳島県環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
4 知事は、希少野生生物保護基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、希少野生生物保護基本方針の変更について準用する。
(開発行為における希少野生生物への配慮)
第八条 知事は、前条第二項第一号の希少野生生物の保護に関する基本構想にのっとり、開発行為における希少野生生物への配慮に関する指針を策定するものとする。
2 県は、希少野生生物の個体の生息又は生育の環境に影響を及ぼすと認められる開発行為をしようとするときは、前項の指針に基づき、当該開発行為に伴って生ずる環境への負荷に対し、回避、低減その他の必要な措置を講じなければならない。
(指定希少野生生物の指定)
第九条 知事は、希少野生生物のうち特に保護を図る必要があると認めるものを、指定希少野生生物として指定することができる。
3 知事は、指定をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、指定の案を告示しなければならない。
4 前項の規定による告示があったときは、利害関係人は、その告示の日から起算して十四日を経過する日までの間に、知事に指定の案についての意見書を提出することができる。
5 知事は、指定の案について異議がある旨の前項の意見書の提出があったときその他指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
6 知事は、指定をするときは、その旨を告示しなければならない。
7 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
8 知事は、指定希少野生生物の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるとき又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。
第二章 個体等の取扱いに関する規制
第一節 個体等の所有者の義務等
(個体等の所有者等の義務)
第十一条 指定希少野生生物の個体及びその器官(規則で定めるものに限る。)並びにこれらの加工品(規則で定めるものに限る。)(以下「個体等」という。)の所有者又は占有者は、指定希少野生生物を保護することの重要性を自覚し、その個体等を適切に取り扱うように努めなければならない。
(助言又は指導)
第十二条 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、指定希少野生生物の個体等の所有者又は占有者に対し、その個体等の取扱いに関し必要な助言又は指導をすることができる。
第二節 個体の捕獲等の禁止
(捕獲等の禁止)
第十三条 指定希少野生生物の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 第十五条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合
二 人の生命又は身体の保護その他の規則で定めるやむを得ない事由がある場合
三 指定希少野生生物の保護に支障を及ぼすおそれのない区域として、知事が告示で定める区域内において捕獲等をする場合
(所持等の禁止)
第十四条 前条の規定に違反して捕獲等をされた指定希少野生生物の個体等は、所持、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取りをしてはならない。
(捕獲等の許可)
第十五条 学術研究又は繁殖の目的その他規則で定める目的で指定希少野生生物の生きている個体の捕獲等をしようとする者は、知事の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、知事に許可の申請をしなければならない。
一 捕獲等の目的が第一項に規定する目的に適合しないこと。
二 捕獲等によって指定希少野生生物の保護に支障を及ぼすおそれがあること。
三 捕獲等をする者が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により捕獲等に係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。
4 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第一項の許可に条件を付することができる。
5 知事は、第一項の許可をしたときは、規則で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。
6 第一項の許可を受けた者のうち法人であるものその他その許可に係る捕獲等に他人を従事させることについてやむを得ない事由があるものとして規則で定めるものは、規則で定めるところにより、知事に申請をして、その者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者であることを証明する従事者証の交付を受けることができる。
9 第一項の許可を受けて捕獲等をした者は、その捕獲等に係る個体を、適当な飼養栽培施設に収容することその他の規則で定める方法により適切に取り扱わなければならない。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第三章 生息地等の保護に関する規制
第一節 土地の所有者の義務等
(土地の所有者等の義務)
第十八条 土地の所有者又は占有者は、その土地の利用に当たっては、指定希少野生生物の保護に留意しなければならない。
(助言又は指導)
第十九条 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、土地の所有者又は占有者に対し、その土地の利用の方法その他の事項に関し必要な助言又は指導をすることができる。
第二節 希少野生生物保護区等
(希少野生生物保護区)
第二十条 知事は、指定希少野生生物、国内希少野生動植物種又は希少野生生物群(以下「指定希少野生生物等」という。)の保護のために必要があると認めるときは、その個体の生息又は生育の状況等を勘案してその指定希少野生生物等の保護のため重要と認める区域を、希少野生生物保護区として指定することができる。ただし、法第三十六条第一項の規定により生息地等保護区に指定されている区域を、当該生息地等保護区に係る国内希少野生動植物種と同一の種を保護の対象とした希少野生生物保護区に指定することはできない。
3 知事は、指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会及び関係市町村の意見を聴かなければならない。
6 知事は、指定案について異議がある旨の前項の意見書の提出があったときその他指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
7 知事は、指定をするときは、その旨並びに指定の区域、指定に係る指定希少野生生物等及び指定の区域の保護に関する指針を告示しなければならない。
8 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
9 知事は、希少野生生物保護区に係る指定希少野生生物等の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるとき又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。
一 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
二 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(水底を含む。)の形質を変更すること。
三 鉱物を採掘し、又は土石を採取すること。
四 水面を埋め立て、又は干拓すること。
五 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
六 木竹を伐採すること。
七 指定希少野生生物等の個体の生息又は生育に必要なものとして知事が指定する野生生物の個体その他の物の捕獲等をすること。
八 希少野生生物保護区の区域内の湖沼若しくは湿原であって知事が指定するもの又はこれらに流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
九 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地の区域以外の知事が指定する区域内において、車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十 第七号の規定により知事が指定した野生生物の個体その他の物以外の野生生物の個体その他の物の捕獲等をすること。
十一 指定希少野生生物等の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある生物として知事が指定するものの個体を放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまくこと。
十二 指定希少野生生物等の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのあるものとして知事が指定する物質を散布すること。
十三 火入れ又はたき火をすること。
十四 指定希少野生生物等の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある方法として知事が定める方法によりその個体を観察すること。
2 前項の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、知事に許可の申請をしなければならない。
4 知事は、指定希少野生生物等の保護のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第一項の許可に条件を付することができる。
6 次に掲げる行為については、第一項の規定は、適用しない。
一 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
二 通常の管理行為又は軽易な行為で規則で定めるもの
三 木竹の伐採で、知事が希少野生生物保護区ごとに指定する方法及び限度内においてするもの
(立入制限地区)
第二十二条 知事は、希少野生生物保護区の区域内で指定希少野生生物等の個体の生息又は生育のため特にその保護を図る必要があると認める場所を、立入制限地区として指定することができる。
3 知事は、土地の所有者又は占有者が正当な理由により第一項の規定による指定を解除するよう求めたとき、又はその指定の必要がなくなったと認めるときは、その指定を解除しなければならない。
4 何人も、知事が定める期間内は、立入制限地区の区域内に立ち入ってはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 非常災害に対する必要な応急措置としての行為をするために立ち入る場合
二 通常の管理行為又は軽易な行為で規則で定めるものをするために立ち入る場合
三 前二号に掲げるもののほか、知事がやむを得ない事由があると認めて許可をした場合
(緩衝地区)
第二十三条 知事は、希少野生生物保護区の周辺の地域のうち、当該希少野生生物保護区及びこれに係る指定希少野生生物等への外部からの人為による影響を緩和するため必要があると認める区域を、緩衝地区として指定することができる。
2 知事は、希少野生生物保護区に係る指定希少野生生物等の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により前項の規定による指定の必要がなくなったと認めるとき又はその指定を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を解除しなければならない。
4 緩衝地区の区域内において、第二十一条第一項各号に掲げる行為をする者は、前項において準用する第二十条第二項の指針に留意しつつ、指定希少野生生物等の保護に支障を及ぼさない方法でその行為をしなければならない。
(緩衝地区の区域内における行為の規制)
第二十四条 緩衝地区の区域内において第二十一条第一項第一号から第五号までに掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、知事に規則で定める事項を届け出なければならない。
4 知事は、前項の規定により期間を定めたときは、これに係る届出をした者に対し、遅滞なく、その旨及びその理由を通知しなければならない。
5 届出をした者は、届出をした日から起算して三十日(第三項の規定により知事が期間を定めたときは、その期間)を経過した後でなければ、届出に係る行為に着手してはならない。ただし、知事が指定希少野生生物等の保護に支障を及ぼすおそれがないと認めてその者に通知したときは、この限りでない。
6 次に掲げる行為については、第一項の規定は、適用しない。
一 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
二 通常の管理行為又は軽易な行為で規則で定めるもの
三 前条第一項の規定による指定がされた時において既に着手している行為
(措置命令等)
第二十五条 知事は、指定希少野生生物等の保護のため必要があると認めるときは、希少野生生物保護区の区域内において第二十一条第一項各号に掲げる行為をしている者又は緩衝地区の区域内において同項第一号から第五号までに掲げる行為をしている者に対し、その行為の実施方法について指示をすることができる。
2 知事は、第二十一条第一項若しくは第二十二条第四項の規定に違反した者、第二十一条第四項(第二十二条第五項において準用する場合を含む。)の規定により付された条件に違反した者、前条第一項の規定による届出をしないで同項に規定する行為をした者又は同条第二項の規定による命令に違反した者がその違反行為によって指定希少野生生物等の個体の生息地又は生育地の保護に支障を及ぼした場合において、指定希少野生生物等の保護のため必要があると認めるときは、これらの者に対し、その違反行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて原状回復を命じ、その他指定希少野生生物等の個体の生息地又は生育地の保護のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(報告の徴収及び立入検査等)
第二十六条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、希少野生生物保護区の区域内において第二十一条第一項各号に掲げる行為をした者又は緩衝地区の区域内において同項第一号から第五号までに掲げる行為をした者に対し、その行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
3 前項の規定による立入検査又は立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
2 知事は、その職員に前項の規定による立入りをさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者又は占有者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
3 第一項の規定による立入りをする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
第四章 外来種対策
(侵略的外来種を放つこと等の禁止)
第三十条 何人も、県内における地域の在来種を圧迫し、生態系に著しい影響を及ぼすおそれがある外来種(以下「侵略的外来種」という。)を、みだりに放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまいてはならない。
(侵略的外来種からの希少野生生物の保護)
第三十一条 県は、侵略的外来種のうち希少野生生物の個体の生息又は生育に支障を及ぼすものについて、その個体数の低減、生息地又は生育地の縮小その他希少野生生物の保護のために必要な対策を講ずるよう努めなければならない。
(外来種に関する情報の収集等)
第三十二条 県は、希少野生生物を保護するために、県内における外来種に関する情報の収集、整理及び分析並びに研究の推進その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(外来種に関する情報の提供)
第三十三条 県は、外来種が希少野生生物の個体の生息又は生育に及ぼす影響について、県民及び事業者の理解が深まるよう、その情報の提供に努めるものとする。
第五章 回復事業
(回復事業計画)
第三十四条 知事は、回復事業の適正かつ効果的な実施に資するため、回復事業計画を策定するものとする。
2 前項の回復事業計画は、回復事業の対象とすべき指定希少野生生物又は希少野生生物群ごとに、回復事業の目標、回復事業が行われるべき区域及び回復事業の内容その他回復事業が適正かつ効果的に実施されるために必要な事項について定めるものとする。
3 知事は、第一項の回復事業計画を策定しようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、第一項の回復事業計画を策定したときは、その概要を告示し、かつ、その回復事業計画を一般の閲覧に供しなければならない。
(県内に住所を有する者等からの提案)
第三十五条 県内に住所を有する者及び県内に事務所又は事業所を有する法人は、規則で定めるところにより、理由を付して前条第一項の回復事業計画を提案することができる。
(認定回復事業等)
第三十六条 県は、指定希少野生生物又は希少野生生物群の保護のため必要があると認めるときは、回復事業を行うものとする。
2 国及び県以外の地方公共団体は、その行う回復事業であってその事業計画が第三十四条第一項の回復事業計画に適合するものについて、知事のその旨の確認を受けることができる。
3 国及び地方公共団体以外の者は、その行う回復事業について、その者がその回復事業を適正かつ確実に実施することができ、及びその回復事業の事業計画が第三十四条第一項の回復事業計画に適合している旨の知事の認定を受けることができる。
5 県は、第三項の認定を受けた回復事業を行う者に対し、必要な支援措置を講ずるよう努めなければならない。
3 希少野生生物保護区の区域内の土地の所有者又は占有者は、認定回復事業等として実施される回復事業のために必要な施設の設置に協力するよう努めなければならない。
4 知事は、前条第三項の認定を受けて回復事業を行う者に対し、その回復事業の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
第六章 推進体制の整備等
(調査及び研究の推進)
第三十九条 県は、指定希少野生生物の指定等希少野生生物の保護に関する施策を策定し、及び推進するため、野生生物の個体の生息又は生育の状況、その生息地又は生育地の状況その他必要な事項について、県民、事業者、民間団体及び関係機関の協力を得て、調査及び研究を推進するものとする。
(情報提供体制の整備)
第四十条 県は、希少野生生物の保護の推進を図るため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮し、及び情報を提供することにより生ずる希少野生生物への影響を考慮しつつ、前条の規定による調査及び研究の成果その他希少野生生物に関する情報を適切に提供する体制を整備するものとする。
(野生生物に関する教育及び学習の機会の充実等)
第四十一条 県は、市町村、民間団体及び関係機関と連携し、野生生物の保護の重要性に対する県民及び事業者の理解を深めるため、野生生物に関する教育及び学習の機会の充実、広報活動その他の必要な措置を講ずるものとする。
(県民、事業者及び民間団体の自発的な活動への支援)
第四十二条 県は、県民、事業者及び民間団体が自発的に行う希少野生生物の保護に関する活動について、助言等その他の必要な支援を行うものとする。
(市町村への要請及び支援)
第四十三条 県は、市町村に対し、県が実施する希少野生生物の保護に関する施策に協力することを求めるものとする。
2 県は、市町村が実施する希少野生生物の保護に関する施策について、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
(人材の育成)
第四十四条 県は、県民、事業者、民間団体及び関係機関に対し野生生物に関する専門的な知識に基づく適切な助言を行う能力を有する人材の育成を図るため、民間団体及び関係機関と連携し、必要な措置を講ずるものとする。
(希少野生生物保護専門員)
第四十五条 知事は、希少野生生物の保護に関する啓発、調査、助言等を行わせるため、希少野生生物保護専門員を置くものとする。
(希少野生生物保護巡視員等)
第四十六条 知事は、希少野生生物の個体の生息若しくは生育の状況又はその生息地若しくは生育地の状況の巡視等を行う県民、事業者又は民間団体を、希少野生生物保護巡視員又は希少野生生物保護巡視団体として認定することができる。
(国及び他の地方公共団体との連携)
第四十七条 県は、県の区域を越えて移動を行う希少野生生物の保護その他の広域的な取組が必要とされる希少野生生物の保護に関する施策の策定及び実施に当たっては、国及び他の地方公共団体と連携し、その推進に努めるものとする。
2 県は、国境を越えて移動を行う希少野生生物の保護その他の国際的な取組が必要とされる希少野生生物の保護に関し、国及び関係機関と連携し、その保護に関する国際協力の推進に努めるものとする。
第七章 雑則
第八章 罰則
第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第五十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
二 第二十二条第四項の規定に違反した者
第五十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
三 第二十四条第二項の規定による命令に違反した者
四 第二十四条第五項の規定に違反した者
第五十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
附則