○徳島県ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進に関する条例

平成十九年三月二十日

徳島県条例第十四号

徳島県ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進に関する条例をここに公布する。

徳島県ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進に関する条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第七条)

第二章 基本指針等(第八条―第十一条)

第三章 啓発活動の推進等(第十二条―第十五条)

第四章 生活関連施設の整備(第十六条―第二十一条)

第五章 特定生活関連施設の整備(第二十二条―第二十八条)

第六章 公共車両等の整備等(第二十九条―第三十一条)

第七章 特別特定建築物に追加する特定建築物等(第三十二条・第三十三条)

第八章 雑則(第三十四条―第三十六条)

附則

少子高齢化や国際化が進展し、生活様式が多様化するなど、社会環境が大きく変化する中にあって、私たちの郷土では、鳴門の渦潮や太平洋を臨む海岸線、また吉野川や剣山など豊かな自然の下で、古来から来訪者を温かくもてなす思いやりの心を育んできた。

このような社会環境や伝統を踏まえ、あらゆる社会的活動に参加する機会を有し、障がいの有無や年齢、性別等に関係なく、健やかで充実した生活を営むことは、県民全ての願いである。

県民、事業者及び行政は、相互に協力しながらそれぞれの役割を積極的に果たし、将来にわたって県民の幸福な生活が確保されるよう全ての人が暮らしやすいまちづくりに取り組むことが重要である。

ここに、私たちは、ユニバーサルデザインによるまちづくりの基本理念を明らかにし、社会全体として総合的かつ継続的な取組を推進していくため、この条例を制定する。

(平二五条例五六・一部改正)

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進についての基本理念を定め、県の責務並びに県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、県の実施する施策について必要な事項を定めることにより、すべての人が暮らしやすい社会を実現することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 ユニバーサルデザインによるまちづくり 障がいの有無、年齢、性別等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境を整備する考え方に基づき、施設の整備、製品の製造、役務の提供及び啓発活動を行うことにより、全ての人が暮らしやすい社会を実現するための取組をいう。

 生活関連施設 官公庁施設、社会福祉施設、医療施設、教育施設、文化施設、娯楽施設、宿泊施設、店舗、公共交通機関の施設、道路、公園その他の不特定かつ多数の者が利用する施設で規則で定めるものをいう。

 特定生活関連施設 生活関連施設のうち生活環境の整備を進める上で特に重要なものとして規則で定めるものをいう。

(平二五条例五六・一部改正)

(基本理念)

第三条 ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進は、生活関連施設を利用する者の基本的な需要が満たされ、すべての人が安全かつ快適に利用できるように配慮して行われなければならない。

2 ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進は、環境の保全に配慮して行われなければならない。

3 ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進は、文化、伝統その他の社会的状況に配慮して行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、ユニバーサルデザインによるまちづくりを推進するものとする。

2 県は、自ら設置し、又は管理する生活関連施設をすべての人が安全かつ快適に利用できるようその整備に努めなければならない。

(県民の役割)

第五条 県民は、ユニバーサルデザインによるまちづくりに関して理解を深め、県が実施するユニバーサルデザインによるまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 県民は、すべての人が生活関連施設、製品及び役務を円滑に利用できるよう配慮するものとする。

(事業者の役割)

第六条 事業者は、基本理念にかんがみ、その供給する商品及び役務について品質等を向上させること等により県が実施するユニバーサルデザインによるまちづくりに協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、自ら設置し、又は管理する生活関連施設をすべての人が安全かつ快適に利用できるようその整備に努めるものとする。

(市町村に対する協力)

第七条 県は、市町村が実施する当該市町村の社会的状況に応じたユニバーサルデザインによるまちづくりに協力するものとする。

第二章 基本指針等

(基本指針の策定)

第八条 知事は、ユニバーサルデザインによるまちづくりに関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。

2 基本指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 ユニバーサルデザインによるまちづくりに関する基本的事項

 前号に掲げるもののほか、ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進を図るために必要な事項

3 知事は、基本指針を定めるに当たっては、あらかじめ、県民の意見を聴かなければならない。

4 知事は、基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前二項の規定は、基本指針の変更(軽微なものを除く。)について準用する。

(県民の意見の聴取)

第九条 県は、前条第三項に定めるもののほか、ユニバーサルデザインによるまちづくりに関する施策について、県民の意見を聴取するよう努めるものとする。

(推進体制)

第十条 県は、県民、事業者及び行政が一体となってユニバーサルデザインによるまちづくりに取り組むため、必要な推進体制を整備するものとする。

(財政上の措置)

第十一条 県は、ユニバーサルデザインによるまちづくりを推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第三章 啓発活動の推進等

(啓発活動の推進等)

第十二条 県は、ユニバーサルデザインによるまちづくりに関する県民及び事業者の意識の高揚及び知識の普及を図るとともに、県民及び事業者の協力を得るための啓発活動を推進するものとする。

(学習機会の提供等)

第十三条 県は、県民及び事業者が、ユニバーサルデザインによるまちづくりに関する理解を深めるため、学習の機会を提供するとともに、教育の充実を図るものとする。

(情報の提供)

第十四条 県は、県民、事業者及び市町村の自主的な取組を促進するため、ユニバーサルデザインによるまちづくりに関する情報を提供するものとする。

(人材の育成)

第十五条 県は、ユニバーサルデザインによるまちづくりに関する専門的な知識を有する人材を育成するため、必要な措置を講ずるものとする。

第四章 生活関連施設の整備

(意見聴取)

第十六条 生活関連施設を設置し、若しくは管理する者(以下「設置者等」という。)又は生活関連施設の新築、新設、増築、改築、大規模の修繕(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第十四号に規定する大規模の修繕をいう。)若しくは大規模の模様替(同条第十五号に規定する大規模の模様替をいう。)(以下「新築等」という。)若しくは施設の用途の変更(施設の用途を変更して生活関連施設とするものに限る。第十八条において同じ。)をしようとする者は、当該生活関連施設を利用する者の意見を聴くよう努めなければならない。

(整備基準)

第十七条 知事は、生活関連施設の整備を促進するため、その出入口、廊下、階段、昇降機、便所、駐車場等の部分の構造及び設備に関し必要な基準(以下「整備基準」という。)を規則で定めるものとする。

(整備基準への適合)

第十八条 生活関連施設の新築等又は施設の用途の変更をしようとする者は、当該生活関連施設を整備基準に適合させるよう努めなければならない。ただし、整備基準に適合する場合と同等以上に円滑に利用することができる場合又は敷地の状況、建築物の構造その他やむを得ない理由により整備基準に適合させることが著しく困難である場合として規則で定める場合は、この限りでない。

(既存の生活関連施設)

第十九条 この章の規定の施行の際現に存する生活関連施設の設置者等(現に新築等の工事をしている者を含む。)は、当該生活関連施設について、整備基準への適合状況の把握に努めるとともに、整備基準に適合させるよう努めなければならない。

(機能の維持)

第二十条 生活関連施設の設置者等は、当該生活関連施設の整備基準に適合している部分の機能を維持するよう努めなければならない。

(適合証の交付)

第二十一条 生活関連施設の設置者等は、規則で定めるところにより、知事に対し、当該生活関連施設が整備基準に適合し、かつ、当該生活関連施設の設置者等が当該生活関連施設を利用する者の意見を聴くための措置を行っていることを証する証明書(以下「適合証」という。)の交付を請求することができる。

2 知事は、前項の規定による請求があった場合において、当該生活関連施設が整備基準に適合し、かつ、当該生活関連施設の設置者等が当該生活関連施設を利用する者の意見を聴くための措置を行っていると認めるときは、当該請求をした者に対し、適合証を交付するものとする。

3 知事は、前項の規定により適合証を交付したときは、その旨を公表することができる。

4 知事は、第二項の規定により交付された適合証に係る生活関連施設が整備基準に適合しなくなったとき、生活関連施設の設置者等が当該生活関連施設を利用する者の意見を聴くための措置を行わなくなったときその他必要と認めるときは、当該適合証を交付した者に対し、当該適合証の返還を命ずることができる。

第五章 特定生活関連施設の整備

(事前協議)

第二十二条 特定生活関連施設の新築等又は施設の用途の変更(施設の用途を変更して特定生活関連施設とするものに限る。第二十七条において同じ。)をしようとする者は、その計画について、規則で定めるところにより、あらかじめ、知事に協議しなければならない。ただし、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号。以下「法」という。)第十七条第一項の規定による申請をしたときは、この限りでない。

2 前項の規定による協議をした者は、当該協議の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、規則で定めるところにより、その変更の内容を、あらかじめ、知事に協議しなければならない。

(指導又は助言)

第二十三条 知事は、前条の規定による協議があった場合において、当該協議に係る特定生活関連施設が整備基準に適合しないと認めるときは、当該協議をした者に対し、必要な指導又は助言を行うことができる。

(工事完了の届出)

第二十四条 第二十二条の規定による協議をした者は、当該協議に係る工事を完了したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を知事に届け出なければならない。

(完了検査)

第二十五条 知事は、前条の規定による届出があったときは、当該届出に係る特定生活関連施設の整備基準への適合状況を検査するものとする。

(報告の徴収及び立入調査)

第二十六条 知事は、この章の規定の施行に必要な限度において、特定生活関連施設の設置者等に対し、報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、特定生活関連施設若しくはその工事現場に立ち入り、当該特定生活関連施設の整備基準への適合状況若しくは帳簿、書類その他の物件を調査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入調査又は質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(勧告)

第二十七条 知事は、第二十二条の規定による協議を行わないで特定生活関連施設の新築等の工事に着手し、若しくは施設の用途の変更をした者又は同条の規定による協議と異なる工事を行った者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

2 知事は、第二十三条の規定による指導又は助言を受けた者が正当な理由がなくこれに従わないときは、その者に対し、当該指導又は助言の内容に従うべきことその他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

3 知事は、前条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

(公表)

第二十八条 知事は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくこれに従わないときは、その旨を公表することができる。この場合において、知事は、あらかじめ、当該勧告を受けた者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。

第六章 公共車両等の整備等

(公共車両等の整備)

第二十九条 旅客の運送の用に供する鉄道の車両、自動車及び船舶のうち規則で定めるもの(以下「公共車両等」という。)を所有し、又は管理する者(以下「所有者等」という。)は、すべての人が安全かつ快適に利用できるようその整備に努めなければならない。

2 知事は、必要があると認めるときは、公共車両等の所有者等に対し、当該公共車両等の整備の状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

3 知事は、必要があると認めるときは、前項の報告を行った者に対し、当該公共車両等の整備の適正な実施について必要な指導又は助言を行うことができる。

(公共工作物の整備)

第三十条 信号機、案内標識その他の公共の用に供する工作物のうち規則で定めるもの(以下「公共工作物」という。)の所有者等は、すべての人が安全かつ快適に利用できるようその整備に努めなければならない。

2 知事は、必要があると認めるときは、公共工作物の所有者等に対し、当該公共工作物の整備の状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

3 知事は、必要があると認めるときは、前項の報告を行った者に対し、当該公共工作物の整備の適正な実施について必要な指導又は助言を行うことができる。

(住宅等への配慮)

第三十一条 住宅又は宅地(以下「住宅等」という。)を供給する者は、すべての人が安全かつ快適に利用できるよう整備された住宅等(当該住宅等と一体的に整備される道路及び公園を含む。)の供給に努めなければならない。

第七章 特別特定建築物に追加する特定建築物等

(特別特定建築物に追加する特定建築物)

第三十二条 法第十四条第三項の規定により条例で追加する特定建築物は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成十八年政令第三百七十九号。以下「政令」という。)第五条第一号に掲げるもの及び幼稚園を除く。)とする。

(令三条例一三・一部改正)

(特別特定建築物の建築の規模)

第三十三条 法第十四条第三項の規定により条例で定める特別特定建築物(政令第五条第一号、第二号及び第八号から第十二号までに掲げるもの(児童厚生施設(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第四十条に規定する児童厚生施設をいう。)その他これに類するもの、ボーリング場及び遊技場を除く。)並びに前条に規定するものに限る。)の建築(法第二条第二十一号に規定する建築をいい、用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。)の規模は、床面積(増築若しくは改築又は用途の変更の場合にあっては、当該増築若しくは改築又は用途の変更に係る部分の床面積)の合計千平方メートルとする。

(令三条例一三・一部改正)

第八章 雑則

(表彰)

第三十四条 知事は、県が実施するユニバーサルデザインによるまちづくりの推進に関して著しい功績のあった者に対して、表彰を行うことができる。

(国等に関する特例)

第三十五条 国、県、市町村その他規則で定める公共的団体については、第二十一条から第二十八条まで、第二十九条第二項及び第三項並びに第三十条第二項及び第三項の規定は、適用しない。ただし、知事は、必要があると認めるときは、国、市町村その他規則で定める公共的団体に対し、特定生活関連施設の整備基準への適合状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

2 知事は、前項ただし書の規定による報告があったときは、当該報告を行った者に対し、必要な要請を行うことができる。

(規則への委任)

第三十六条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第二条第三号第四章から第七章まで及び第三十五条並びに次項附則第三項第五項及び第六項の規定は、平成十九年十月一日から施行する。

(徳島県ひとにやさしいまちづくり条例の廃止)

2 徳島県ひとにやさしいまちづくり条例(平成八年徳島県条例第八号)は、廃止する。

(徳島県ひとにやさしいまちづくり条例の廃止に伴う経過措置)

3 前項の規定による廃止前の徳島県ひとにやさしいまちづくり条例第十二条の規定による事前協議がされた特定施設に係る措置については、なお従前の例による。

(基本指針に関する経過措置)

4 この条例の施行の際現に策定されているユニバーサルデザインによるまちづくりの推進に関する県の基本的な指針は、第八条の規定により策定された基本指針とみなす。

(特別特定建築物に関する経過措置)

5 第七章の規定の施行の際現に工事中の特別特定建築物の建築については、同章の規定は、適用しない。

(徳島県の事務処理の特例に関する条例の一部改正)

6 徳島県の事務処理の特例に関する条例(平成十一年徳島県条例第三十号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成二五年条例第五六号)

この条例は、平成二十六年一月一日から施行する。

(令和三年条例第一三号)

この条例は、令和三年四月一日から施行する。

徳島県ユニバーサルデザインによるまちづくりの推進に関する条例

平成19年3月20日 条例第14号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第5編 生/第1章 社会福祉/第1節 社会事業
沿革情報
平成19年3月20日 条例第14号
平成25年12月19日 条例第56号
令和3年3月19日 条例第13号