○化学的酸素要求量,窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画を定めた件

平成二十四年二月二十三日

徳島県告示第百四十五号

水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第四条の三第一項の規定に基づき化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画を定めたので、同条第五項の規定によりその内容を次のとおり公表する。

化学的酸素要求量,窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画

この総量削減計画は,水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第4条の3等の規定に基づき,化学的酸素要求量については瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)第5条第1項に規定する区域のうち徳島県の区域について,窒素含有量及びりん含有量については水質汚濁防止法施行令(昭和46年政令第188号)別表第2第3号リに掲げる区域について,平成23年6月15日付け化学的酸素要求量,窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(瀬戸内海)に定められた削減目標量を達成するため,必要な事項を定めるものである。

1 削減の目標

平成26年度を目標年度とする発生源別の削減目標量は,次のとおりとする。

(1) 化学的酸素要求量について

表1 発生源別の削減目標量


削減目標量(トン/日)

(参考)

平成21年度における量(トン/日)

生活排水

11

12

産業排水

21

16

その他

3

3

合計

35

31

(2) 窒素含有量について

表2 発生源別の削減目標量


削減目標量(トン/日)

(参考)

平成21年度における量(トン/日)

生活排水

6

6

産業排水

3

2

その他

10

10

合計

19

18

(3) りん含有量について

表3 発生源別の削減目標量


削減目標量(トン/日)

(参考)

平成21年度における量(トン/日)

生活排水

0.6

0.6

産業排水

0.5

0.4

その他

0.4

0.4

合計

1.5

1.4

2 削減目標量の達成のための方途

(1) 生活系排水対策

瀬戸内海の削減目標量を達成するためには,工場・事業場排水はもとより,汚濁負荷割合の大きい生活排水を適正かつ効率的に処理することが必要である。

このため,市町村等と協力しながら,地域の実情に応じ,下水道,浄化槽,農業集落排水施設,コミュニティ・プラント等の生活排水処理施設及びし尿処理施設の整備を促進するとともに,排水処理の高度化の促進,適正な維持管理の徹底等の生活排水処理対策を計画的に推進することにより,削減目標量の達成を図る。

ア 下水道の整備等

下水道については,社会資本整備重点計画及び徳島県汚水処理構想との整合を図りつつ,目標年度までに表4に掲げる処理人口を目標にその整備を促進するとともに,水洗化の促進等を図る。

また,下水道終末処理場については,維持管理の徹底等により排水水質の安定及び向上に努めるとともに,窒素及びりんの高度処理の導入について,海域の状況を勘案しつつ,その実施に努める。

さらに,合流式下水道については,越流水の現状把握に努めるとともに,簡易処理施設及び雨水滞水池等の整備,スクリーンの改良等により改善を推進する。

表4 下水道整備計画

年度

行政人口(千人)

処理人口(千人)

26

762

126

【19】

※【 】書きは、高度処理人口を示す(内数)

イ その他の生活排水処理施設の整備

浄化槽,農業集落排水施設等,コミュニティ・プラントについては,徳島県汚水処理構想との整合を図りつつ,目標年度までに表5に掲げる処理人口を目標としてその整備を促進するとともに,水洗化と併せて生活排水処理の促進を図る。

既設の単独処理浄化槽については,地域の実情に応じ合併処理浄化槽への転換の促進を図る。

また,浄化槽整備事業の活用等により,その整備を促進する。

農業集落排水施設については,農業振興地域において,その整備の促進を図る。

コミュニティ・プラントについては,市町村の一般廃棄物処理計画に基づき,その整備の促進を図る。

し尿処理施設については,市町村の一般廃棄物処理計画に基づき,整備を促進するとともに,処理施設の維持管理の徹底及び高度処理の導入により,排水水質の安定及び向上に努める。

なお,浄化槽については,建築基準法(昭和25年法律第201号),浄化槽法(昭和58年法律第43号)及び「徳島県浄化槽取扱要綱」(昭和62年4月施行)に基づき,適正な設置並びに定期検査,保守点検及び清掃の徹底を図ることにより,排水水質の安定及び向上に努める。

表5 処理形態別汚水処理人口

年度

処理形態

処理人口(千人)

26

浄化槽

270

農業集落排水施設等

20

コミュニティ・プラント

7

ウ 一般家庭における生活排水対策

一般家庭からの生活排水による削減目標量を達成するため,水質汚濁防止法及び徳島県生活環境保全条例(平成17年徳島県条例第24号)に基づき,市町村と協力し,家庭でできる雑排水対策についての普及・啓発を行うとともに,特に対策の実施が必要な地域を生活排水対策重点地域に指定し,計画的かつ総合的な生活排水対策を推進する。

(2) 産業系排水対策

ア 総量規制基準の設定

指定地域内事業場については,汚濁負荷量の削減のために採られた取組及びその難易度,原材料等の使用の実態,排水処理技術の水準の動向,費用対効果,除去率の季節変動等を考慮し,適切な総量規制基準を定め,立入検査,水質検査等を行い,その遵守を徹底することにより,削減目標量の達成を図る。

新・増設の施設については,既設の施設に比べ,より高度な技術の導入が可能であることを考慮し,特別の総量規制基準を設定し,削減目標量の達成を図る。

Cc(業種等の区分及び特定排出水量の時期区分ごとに適用される濃度値)等の値等については,「化学的酸素要求量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成18年環境省告示第134号),「窒素含有量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成18年環境省告示第135号)及び「りん含有量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成18年環境省告示第136号)により定めることとし,一部の業種等については,排水量等により区分するなど,業種等の実態を考慮して適切に設定する。

イ 総量規制基準の適用されない事業場等に対する対策

総量規制基準の適用されない工場・事業場のうち,徳島県生活環境保全条例の排水規制の対象となっているものについては,立入検査,水質検査等を行い削減目標量を達成するための指導等を行う。

また,指定地域内の日平均排水量が50立方メートル未満の工場・事業場については,排出水の実態等を考慮し,「小規模事業場排水対策マニュアル」(平成13年3月環境省環境管理局)及び「徳島県小規模事業場等排水対策指導指針」(平成9年4月施行)に基づき,適正な排水処理について指導及び助言を行い,削減目標量の達成に努める。

さらに,排水規制の適用を受けない工場・事業場については,排出水の特性等について,その実態把握に努め,排水処理施設の設置等の削減目標量を達成するための必要な措置を講じるよう指導を行う。

(3) その他の汚濁発生源に係る対策

その他の汚濁発生源については,地域における発生特性を踏まえきめ細かな対策を講じるとともに,発生源が多岐にわたることから汚濁負荷の実態に応じた削減努力を促し,削減目標量の達成を図る。

ア 農地からの負荷削減対策

持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(平成11年法律第110号)等に基づく,エコファーマー等の育成・支援による環境保全型農業の一層の推進により,化学肥料施用の低減など農地に由来する負荷の削減目標量の達成を図る。

イ 畜産排水対策

畜産排水については,家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(平成11年法律第112号),同法第8条の規定に基づき定める「家畜排せつ物の利用の促進を図るための県計画」(平成12年徳島県告示第869号)及び「畜産経営に起因する環境汚染防止対策指導要領・指導方針」(昭和47年9月制定)等に基づき,家畜排せつ物の適正な管理及び処理を推進すること等を通じ,家畜排せつ物に由来する負荷の削減目標量の達成を図るとともに,耕畜連携の強化による広域利用やエネルギー利用等の高度利用等を推進する。

ウ 養殖漁場の改善

養殖漁場の環境改善を図るため,持続的養殖生産確保法(平成11年法律第51号),「徳島県魚類養殖指導方針」等に基づき,給餌量の低減,汚濁負荷の少ない飼餌料の使用の促進等により,養殖漁場の環境管理の適正化を推進するとともに,漁場内の水質及び底質の改善を図るため,地域の実情に応じて適切な措置を講ずる。

3 その他削減目標量の達成に関し必要な事項

(1) 人工海浜,干潟及び藻場の造成等

残された干潟及び藻場を保全するとともに,生態系に配慮しつつ,砂浜,干潟及び藻場の造成等を盛り込んだ事業を推進する。

また,多様な生態系の維持に配慮した護岸整備等を行う。

(2) 水質改善に資する養殖等の取組の推進

水質改善に資する取組として,海域中の自然にある栄養塩や餌を利用して行う藻類養殖,貝類養殖等を推進するとともに,漁業について,漁獲量の管理,資源回復計画などにより,水生生物の安定的な漁獲を推進する。

(3) 水質浄化事業の推進

ア 河川等の浄化施設整備

水質汚濁の進んだ河川等の水質を改善するため,浄化施設の整備を図る。

イ 底質改善事業の推進

底質汚泥からの栄養塩類の溶出を抑制するため,汚泥の除去のためのしゅんせつを行う。

(4) 里海づくりの推進

人の手を適切に加えることにより生物多様性,生物生産性が高まった里海をめざし,里海の概念や重要性について啓発を図るとともに,地域における里海づくり活動に対する支援を行う。

(5) 監視事業の充実

公共用水域の水質汚濁の状況及び削減目標量の達成状況を正確に把握し,有効かつ適切な対策を講ずるため,河川及び海域の水質監視,指定地域内事業場に対する立入検査の実施及びその他の発生源に対する指導等並びに効果的な監視事業の充実を図る。

(6) 教育,啓発等

水質総量削減をより効果的に推進するには,関係市町村,事業者及び県民の理解と協力が必要である。このため,総量削減の趣旨及び内容について,自治体のホームページ等により,正しい理解を求め,協力体制の強化を図ることにより,削減目標量の達成に努める。

事業者に対しては,団体が実施する研修会等を通じ,本計画の趣旨及び内容の周知徹底に努め,総量規制基準の遵守及び削減目標量の達成のための努力と協力を要請する。

県民に対しては,家庭でできる生活雑排水対策の実践等に努めるよう啓発等を行うとともに,児童及び生徒に対しては,学校教育の中で水質保全に対する正しい知識が得られるよう,水質保全意識の普及・啓発に努める。

(7) 調査研究の推進

本計画の目標を達成するため,試験研究機関との連携を密にして,工場・事業場の排出水,公共用水域の水質等の調査分析を行い,また,排水処理技術,排出水の汚濁負荷量の測定技術等の研究等の推進に努める。

(8) 中小企業者への助成措置等

中小企業者の排水処理施設の設置,改善等に対する「徳島県環境保全施設整備等資金貸付制度」等の資金の助成及び技術指導に努め,水質汚濁防止施設の整備等を促進する。

化学的酸素要求量,窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画を定めた件

平成24年2月23日 告示第145号

(平成24年2月23日施行)

体系情報
第6編 生/第7章
沿革情報
平成24年2月23日 告示第145号