○徳島県家庭教育支援条例

平成二十八年三月十八日

徳島県条例第三十九号

徳島県家庭教育支援条例をここに公布する。

徳島県家庭教育支援条例

家庭は、教育の原点であり、全ての教育の出発点である。また、基本的な生活習慣、豊かな情操、他人に対する思いやり、善悪の判断などの基本的な倫理観、自立心、自制心などは、愛情によるきずなで結ばれた家族との触れ合いを通じて、家庭で育まれるものである。

徳島県では、地域の自然の恵み、阿波踊りや人形浄瑠璃などに見られる伝統と文化の豊かさ及び人と人との絆の強さを生かし、家庭と地域社会が一体となって子供の成長を支えてきた。

しかしながら、近年では、家族形態の多様化、少子化、地域とのつながりの希薄化など、家庭とそれを取り巻く環境が大きく変化し、家庭と子供が抱える問題の複雑化及び過保護、過干渉、放任など家庭の教育力の低下が指摘されている。そこで、これまで行われてきた家庭教育を支援するための取組を更に進め、各家庭が改めて家庭教育に対する責任を自覚し、自主的に取り組むとともに、家庭を取り巻く地域、学校、事業者、行政などが一体となって家庭教育を支えていくことが必要となっている。

ここに、各家庭が家庭教育に自主的に取り組むことができる環境整備に努めるとともに、家庭教育を地域全体で支援する社会的気運を醸成することで、子供たちの健やかな成長に喜びを実感できる徳島県の実現を目指して、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、家庭教育への支援についての基本理念及びその実現を図るために必要な事項を定め、家庭教育への支援に関する施策を総合的に推進することにより、子供の健全な成長のために必要な生活習慣の確立並びに子供の自立心の育成及び心身の調和のとれた発達に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において「家庭教育」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子供を現に監護する者をいう。以下同じ。)が子供に対して行う教育をいう。

2 この条例において「子供」とは、おおむね十八歳以下の者をいう。

3 この条例において「学校等」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除く。)、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十九条第一項に規定する保育所及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第六項に規定する認定こども園をいう。

4 この条例において「地域活動団体」とは、社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第十条に規定する社会教育関係団体、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百六十条の二第一項に規定する地縁による団体その他の団体で地域的な活動を行うものをいう。

(基本理念)

第三条 家庭教育への支援は、保護者が子供の教育について第一義的責任を有するという基本的認識の下に、県、市町村、学校等、地域住民、地域活動団体、事業者その他の社会の全ての構成員が、家庭教育の自主性を尊重しつつ、各々の役割を果たすとともに、社会全体が一体となって取り組むことを旨として行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、家庭教育を支援するための施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、前項の規定により家庭教育を支援するための施策を策定し、及び実施するに当たっては、市町村、保護者、学校等、地域住民、地域活動団体、事業者その他の関係者と連携して取り組むものとする。

3 県は、第一項の規定により家庭教育を支援するための施策を策定し、及び実施するに当たっては、様々な家庭の状況に配慮するものとする。

(市町村との連携)

第五条 県は、市町村が家庭教育を支援するための施策を策定し、又は実施しようとするときは、市町村に対して情報の提供、技術的助言その他必要な支援を行うものとする。

(保護者等の役割)

第六条 保護者は、基本理念にのっとり、自らの果たす役割と責任を自覚し、子供の自主性を尊重し、愛情をもって接し、子供の基本的な生活習慣の確立、自立心の育成及び心身の調和のとれた発達を図るとともに、自らも保護者として成長していくよう努めるものとする。

2 子供の祖父母は、基本理念にのっとり、家庭教育に積極的に協力するよう努めるものとする。

(地域住民等の役割)

第七条 地域住民は、基本理念にのっとり、保護者及び学校等と連携して、先人が創造し、守り続けた地域の歴史、伝統、文化、行事等を伝えることを通じ、子供の健全な育成に努めるとともに、保護者が家庭教育を行うのに良好な地域環境の整備に努めるものとする。

2 地域活動団体は、基本理念にのっとり、保護者と連携して、家庭教育を支援するための取組を行うよう努めるものとする。

3 地域住民及び地域活動団体は、県及び市町村が実施する家庭教育を支援するための施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第八条 事業者は、基本理念にのっとり、家庭教育における保護者の役割の重要性に鑑み、従業員の仕事と家庭生活との両立が図られるよう必要な就業環境の整備等に努めるものとする。

2 事業者は、県及び市町村が実施する家庭教育を支援するための施策に協力するよう努めるものとする。

(学校等における取組の支援)

第九条 県は、学校等が、保護者と連携して、子供に基本的な生活習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成するための取組を行うことを支援するものとする。

(親としての学びの支援)

第十条 県は、親としての学び(保護者が、子供の発達段階に応じて大切にすべき家庭教育に関する知識、子育ての知識その他の親として成長するために必要なことを学ぶことをいう。次項において同じ。)を支援する学習方法の開発及びその普及を図るものとする。

2 県は、市町村、地域活動団体その他の関係者が、親としての学びを支援する学習の機会を提供することを支援するものとする。

(親になるための学びの支援)

第十一条 県は、親になるための学び(子供が保護者の役割、子育ての意義その他将来親になることについて学ぶことをいう。次項において同じ。)に関する学習方法の開発及びその普及を図るものとする。

2 県は、学校等が、親になるための学びに関する学習の機会を提供することを支援するものとする。

(人材の養成等)

第十二条 県は、家庭教育に関する支援を行う人材の養成及び資質の向上並びに家庭教育に関する支援を行う人材相互間の連携を推進するものとする。

(保護者、学校等、地域住民等の連携した活動の促進)

第十三条 県は、保護者、学校等、地域住民その他の関係者が相互に連携して取り組む家庭教育を支援するための活動を促進するものとする。

(相談体制の整備等)

第十四条 県は、家庭教育に関する相談に応ずるため、相談体制の整備、相談窓口の周知その他の必要な施策を講ずるものとする。

(広報及び啓発)

第十五条 県は、家庭教育に関する情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。

2 県は、家庭教育の支援に関する社会的気運を醸成するため、家庭教育の重要性並びに家庭教育における保護者の果たす役割及び責任について、県民の理解を深め、意識を高める啓発を行うものとする。

(とくしま教育週間における事業の実施)

第十六条 県は、家庭教育についての関心と理解を深め、積極的に家庭教育を実践する意欲を高めるため、とくしま教育の日を定める条例(平成十六年徳島県条例第三十五号)第三条に規定するとくしま教育週間を中心として、この条例の目的にふさわしい事業を実施するものとする。

(財政上の措置)

第十七条 県は、家庭教育を支援するための施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。

徳島県家庭教育支援条例

平成28年3月18日 条例第39号

(平成28年4月1日施行)