○徳島県議会基本条例
平成二十五年二月二十二日
徳島県条例第一号
徳島県議会基本条例をここに公布する。
徳島県議会基本条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第三条)
第二章 議員の責務及び活動(第四条―第十一条)
第三章 議会運営の原則等(第十二条―第十五条)
第四章 議会の役割及び機能(第十六条―第二十一条)
第五章 知事等との関係等(第二十二条―第二十四条)
第六章 県民との関係(第二十五条―第二十八条)
第七章 議会改革(第二十九条・第三十条)
第八章 議会事務局等(第三十一条・第三十二条)
第九章 最高規範性(第三十三条)
第十章 補則(第三十四条)
附則
徳島県は、鳴門の渦潮、県南部の海岸線、剣山、吉野川などの豊かな自然、世界に誇りうる阿波踊り、阿波人形浄瑠璃、阿波藍などの伝統的な文化や産業、うだつの町並み、祖谷のかずら橋などの歴史的及び文化的な遺産、更には豊富で新鮮な農林水産物といった多彩で魅力あふれる地域資源を有している。
こうした地域資源が持つ潜在力を引き出すことにより県民の夢と希望を実現し、後世に引き継いでいくことは、本県の県政を委ねられた我々、徳島県議会議員の責務である。
徳島県議会は、明治十二年に公選制の県会として開設されて以来、先人たちの高い志を受け継ぎ、長い歴史と伝統に培われた円滑な議事運営に努めるとともに、自由闊達な議論を尊重するなど、県民を代表する県議会として、その役割を最大限に果たしてきたところである。
時代は地方分権改革のさなかにあって、平成十二年のいわゆる地方分権一括法の施行等により地方自治体の自己決定権と責任の範囲が拡大され、平成二十二年には関西広域連合が発足するなど、地方自治を取り巻く環境は大きく変化している。
知事とともに二元代表制の一翼を担う徳島県議会は、県民の意見の集約と調和を図る立場にあることを自覚して地方分権改革を成し遂げ、本県の自主性や自立性を高めるとともに、主権者である県民の立場に立った真の地方自治を実現するという強い意志を持って、その果たすべき役割と責務の重要性を改めて認識し、更なる議会改革に取り組んでおり、今こそ、その成果を確かなものとして未来に継承していかなければならない。
そのため、我々、徳島県議会議員は、議会改革の推進方策を体系的に取りまとめた議会改革行動計画の策定をこの条例に位置付けるとともに、本県のあるべき姿を希求し、その未来は県民とともに築いていくものであることを改めて宣言する。
そして、県議会が県政の最高意思決定機関であることから、議会は自治体の最高責任者であるとの認識の下に、徳島県議会議員の一人一人がその能力を最大限に発揮することにより、県民の負託にこたえ、県政の発展に寄与する議会を築くことを決意し、徳島県議会における最高規範としてこの条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、徳島県議会(以下「議会」という。)における最高規範として、議会の基本理念を定めるとともに、徳島県議会議員(以下「議員」という。)の責務、議会運営の原則、議会の役割等を明らかにすることにより、議員が県民の負託にこたえ、もって県民の福祉の増進、県勢の伸展及び民主政治の健全な発展に資することを目的とする。
(基本理念)
第二条 議会は、県政における最高議決機関として県民の意思を県政に反映させるため、公平かつ公正な議論を尽くし、真の地方自治の実現を目指すものとする。
(基本方針)
第三条 議会は、前条に規定する基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づいた議会活動を行うものとする。
一 県民に開かれた議会運営を行うとともに、議会活動に関し県民に説明する責任を果たすこと。
二 議会の本来の機能である政策の決定並びに知事その他の執行機関(以下「知事等」という。)の事務の執行についての監視及び評価を行うこと。
三 提出された議案の審議又は審査を行うほか、独自の政策の立案及び提言に取り組むこと。
四 地方分権の進展に的確に対応するため、議会の在り方を絶えず検証し、継続的に議会改革に取り組むこと。
第二章 議員の責務及び活動
(議員の責務)
第四条 議員は、県民の代表として県民全体の利益を考え、常に県民の意思及び県政の課題を把握するとともに、合議制の機関である議会の構成員として、議会活動を通じて県民の負託にこたえるものとする。
(議員活動)
第五条 議員は、前条に規定する責務を果たすため、次に掲げる活動を行うものとする。
一 県政に関する県民の意思を把握し、県政に反映させること。
二 県政の課題及び政策に関する情報収集及び調査研究を行うこと。
三 本会議、委員会その他の会議に出席し、審議、審査等を行うとともに、必要に応じて議案を提出すること。
四 議会活動に関する県民への広報を行い、県民に説明する責任を果たすこと。
(研さん及び調査研究)
第六条 議員は、審議、政策の立案等に必要な能力の向上を図るため、研さん及び調査研究に努めるものとする。
(会派)
第七条 議員は、議会活動を円滑に行うこと及び把握した県民の意思を県政に効果的に反映させることを目的として、会派を結成することができる。
2 会派は、議会が合議制の機関としての機能を十分に発揮することができるよう、県政の課題及び政策に関して会派内における意見の集約及び会派間の調整に努め、その結果を議会活動に反映させるものとする。
(議員報酬等)
第八条 議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当については、徳島県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(昭和三十四年徳島県条例第四号)の定めるところによる。
(令六条例四七・一部改正)
(政務活動費)
第九条 会派は、議員の調査研究その他の活動に資するため、政務活動費の交付を受けることができる。
2 会派及び議員は、政務活動費の使途を明らかにしなければならない。
3 政務活動費の交付については、徳島県政務活動費の交付に関する条例(平成十三年徳島県条例第二十六号)の定めるところによる。
(平二七条例五六・一部改正)
(倫理等の保持)
第十条 議員は、選挙により選出されたという公の立場を自覚し、県民の代表としての責任感を持ち、良心に従って、常に倫理及び品位を保持するよう努めなければならない。
(資産等の公開)
第十一条 議員は、政治倫理の確立を期し、もって民主政治の健全な発展に寄与するため、その資産等を公開しなければならない。
2 議員の資産等の公開については、政治倫理の確立のための徳島県議会の議員の資産等の公開に関する条例(平成七年徳島県条例第六十三号)の定めるところによる。
第三章 議会運営の原則等
(議会運営の原則)
第十二条 議会は、県民に開かれ、透明性の高い運営を行うよう努めるものとする。
2 議会は、その機能が十分に発揮されるよう、円滑かつ効率的な運営に努めるものとする。
3 議会は、言論の府として議員の発言を保障するとともに、議員相互間の討議等の方法によって活発な議論が行えるよう努めるものとする。
(定例会の回数)
第十三条 定例会の回数については、徳島県議会の定例会の回数を定める条例(昭和三十一年徳島県条例第三十六号)の定めるところによる。
(委員会の運営等)
第十四条 常任委員会は、県政の課題に対応して機動的に開催し、その機能が十分に発揮されるよう、円滑かつ効率的な運営に努めるものとする。
2 特別委員会は、県政の課題に対応するため必要がある場合に設置し、その機能が十分に発揮されるよう、円滑かつ効率的な運営に努めるものとする。
3 前二項に定めるもののほか、委員会の設置及び運営については、徳島県議会委員会条例(昭和三十四年徳島県条例第十二号)の定めるところによる。
(議員の定数及び選挙区)
第十五条 議会は、県民の意思を県政に十分に反映させることができるよう、議員の定数及び選挙区について、適切な見直しを行うものとする。
2 議員の定数及び選挙区については、徳島県議会の議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例(平成十四年徳島県条例第四十一号)の定めるところによる。
第四章 議会の役割及び機能
(議決)
第十六条 議会は、議決により、県の意思を確定するものとする。
(予算に係る審査等の体制の整備)
第十七条 議会は、予算に関する議案の審査及び調査の効果的な実施に資するための体制の整備に努めるものとする。
(政策の立案及び提言)
第十八条 議会は、議員の提案による政策条例の制定、決議等を通じて、独自の政策の立案及び提言を積極的に行うものとする。
(調査)
第十九条 議会は、議案又は県の事務に関する調査を行うほか、県政及び議会運営に関する具体的な課題の解決を図るために必要な調査を行うものとする。
(調査、検討等を行う機関及び組織)
第二十条 議会は、本会議及び委員会における審議等によるほか、県政の課題の解決及び議会運営に関して必要があると認めるときは、調査、検討等を行うための機関及び組織を設置することができる。
(大規模な災害等への対応)
第二十一条 議会は、大規模な災害等が発生した際に迅速かつ的確に対応するための体制の充実強化に努めるものとする。
第五章 知事等との関係等
(知事等との関係)
第二十二条 議会は、二元代表制の下で、自らは議決権を有し、知事等は執行権を有するという互いの役割分担の関係を尊重しつつ、共通の目標である県民の福祉の増進及び県勢の伸展に向け、自らの機能を十分に発揮しなければならない。
(知事等の事務の執行の監視等)
第二十三条 議会は、知事等の事務の執行が適正かつ公平に、及び効率的に行われているかを監視し、必要と認める場合には、知事等に対し、適切な措置又は対応を講ずるよう求めるものとする。
(議会への説明等)
第二十四条 知事等は、予算の編成方針を定め、若しくは予算を調製したとき又は県政に係る基本的な計画等の重要な政策若しくは施策に係る基本方針、素案その他これらに類するものを作成し、若しくは変更したときは、議会にその内容を説明するよう努めなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、同項に規定する基本的な計画のうち、徳島県行政に係る基本計画の策定等を議会の議決すべき事件として定める条例(平成二十四年徳島県条例第九十一号)第二条に規定する基本計画については、同条例の定めるところにより、その案の概要等を議会に報告するものとする。
3 知事等は、予算の編成方針の策定若しくは調製又は県政に係る基本的な計画等の重要な政策若しくは施策の作成若しくは変更に当たっては、議会の政策の提案の趣旨を尊重するものとする。
第六章 県民との関係
(県民の意思の県政への適切な反映等)
第二十五条 議会は、県民の意思を的確に把握し、県政に十分に反映させることができるよう、県民の議会活動への参加の機会の充実に努めるものとする。
2 議会は、県民の意思を審議に反映させるため、本会議及び委員会の運営に当たり、公聴会及び参考人の制度の積極的な活用に努めるものとする。
3 議会は、請願、陳情等があったときは、誠実に処理するものとする。
(議会活動に係る説明責任)
第二十六条 議会は、議会活動について、県民に対し説明する責任を果たすことにより、その透明性の確保に努めるものとする。
(広報広聴の充実)
第二十七条 議会は、様々な機会を通して議会に対する県民の意見を的確に把握するとともに、多様な媒体を活用して県民に対し議会活動に関する情報の提供を行い、県民に開かれた議会の実現に努めるものとする。
(情報公開)
第二十八条 議会は、徳島県情報公開条例(平成十三年徳島県条例第一号)の定めるところにより公文書の公開を行うほか、本会議及び委員会の会議録を広く県民が閲覧することができるようにするものとする。
第七章 議会改革
(議会改革の継続)
第二十九条 議会は、議会を取り巻く社会経済情勢の変化を的確にとらえ、県民の福祉の増進のため、議会運営が円滑かつ効率的なものとなるよう、議会改革に継続して取り組むものとする。
(議会改革行動計画の策定等)
第三十条 議会は、前条に規定する議会改革に関する取組を行うため、議会改革行動計画を策定するものとする。
2 議会改革行動計画は、議員が改選されるごとに見直すものとする。
3 議会は、議会改革行動計画について調査し、及び審議するため、議会改革検討会議を設置することができる。
第八章 議会事務局等
(議会事務局の機能の強化等)
第三十一条 議会は、議会の政策を立案する能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の強化及び組織の整備に努めるものとする。
(議会図書室の適正な管理等)
第三十二条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室を適正に管理し、及び運営するとともに、その機能の強化に努めるものとする。
第九章 最高規範性
第三十三条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する他の条例、規則等を解釈し、又は制定し、若しくは改廃するに当たっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例に定める事項との整合性の確保を図らなければならない。
第十章 補則
(見直し)
第三十四条 議会は、社会経済情勢の変化、県民の意思等を踏まえ、必要に応じてこの条例の見直しを行うものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成二七年条例第五六号)
この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。
附則(令和六年条例第四七号)
この条例は、公布の日から施行する。